バツイチ・38歳・フリーの保険調査員。ある日持ち込まれた仕事は、銃の暴発事故の調査。と、未成年の保護?
保険にまつわる事件を描くミステリー・サスペンス、ヨネダコウさん描く「Op -オプ- 夜明至の色のない日々」1巻を読みました。
カバーの人物は主人公、夜明至(よあけ・いたる)。飄々とした風貌の保険調査員ですが、少し秘密が―?連載は講談社「イブニング」です。
「Op -オプ- 夜明至の色のない日々」感想・レビュー
フリーの保険調査員のお仕事
タイトルにもある「オプ」。オプと言えばMASTERキートンを思い浮かべますが、オプとは調査員・探偵を指す言葉(キートンも保険の調査員です)。
本作「Op -オプ- 夜明至の色のない日々」の主人公・夜明至は、事故などの案件で保険の支払いが適当かどうか、の調査を保険会社から請け負うのが仕事。フリーのオプという立場です。
保険と言えばお金の絡むもの。必然、保険制度を悪用する契約者も出てきます。保険金詐欺とまでは言わずとも、保険金受取に有利な証言をしたりすることも。
お金を払う側の保険会社としては、当然支払いは減らしたい(あわよくば支払いしたくない)。そこで活躍するのが調査員、「オプ」という存在です。
風変わりなオプ・夜明至
「夜明保険調査オフィス」を構える夜明至。元キャバ嬢で美人の(だが口の悪い)千秋とともに、クライアントである損保会社からの依頼を受けます。
案件を「無責」で済ませたい、つまり保険金の支払い責任が無いことの立証を極力求めるクライアント。それに応えて成功報酬を得るのが優秀なオプ。
しかしやる気がないのか欲がないのか、夜明が興味を持つのは「真実」。大きく感情をあらわすことの少ない彼。しかしその眼に見えているものは―。
ちなみにスイカのような熟女が好き。
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特殊能力を持つ少年
実は元・警視庁の準キャリアだった夜明。第一話で腐れ縁の警察キャリア・行政(ゆきまさ)から、15歳の少年・高比良玄(たかひら・くろ)を押し付けられることに。
初対面から、夜明に敵意を剥き出しにする玄。彼には「人の感情が色で視える」という能力が。といっても超能力とは異なり、それは「共感覚」によってもたらされるもの。
嘘を付く人間は「灰色」に視える玄。その能力で夜明を見た彼の目には、果たして何色が映ったのか?
そこに玄が夜明を恐れる理由があり、夜明の特異さを浮き彫りにします。さらに玄にはもう一つ秘密があるのですが、それは本編で。
保険にまつわるリアルな事件
そんな二人が時に協力し、時に反目しあいながら、保険にまつわる事件に関わります。
「Op -オプ- 夜明至の色のない日々」で第一に描かれる案件は、猟銃による暴発事故で死亡したスーパー経営者の事件。
彼の死は事故なのか、自殺なのか。それとも?
無責を望むクライアントの依頼で動く夜明ですが、特に不審な点は見当たらず。しかし聴取に居合わせた玄は、関係者にある「色」を見て―。
こう書くと特殊能力で事件を解決する物語のようですが、さにあらず。描かれる事件は現実に即したリアルなもので、そこにおもしろみがあります。
夜明が事件に取り組み、真実にたどり着く過程もミステリー・サスペンス志向で本格的。
第二話で描かれる交通事故の原因調査も、おそらく保険絡みとしては上位に来るであろう内容。
ひき逃げ事故の供述の食い違いは、何を意味するのか?被害者・加害者それぞれの立場を丹念に描きながら、真実にたどり着く過程は読み応えがあります。
色香ただよう大人のドラマ
というわけで「Op -オプ- 夜明至の色のない日々」1巻の感想・レビューでした。リアルな事件と魅力的なキャラクターで形作られた、よい雰囲気を持つ漫画です。
作者のヨネダコウさんは、BL作品が主戦場だそう。本作では一般誌掲載ということでBL要素はありませんが、そこかしこに散りばめられたワードがそれっぽくて面白いw。
そんなヨネダコウさんの作風が影響しているのでしょう。色香が漂うシリアスな雰囲気、大人のドラマ!といった趣きを感じます。
夜明至本人含め、まだまだ謎の多い物語ですが、1巻では2つの事件がきっちり完結していて読みやすい作り(良心的)。良質なミステリー・サスペンス漫画です。
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