バラ色の未来を描いて東京の高校へ進学した、地方出身の女子高生。
入学初日に素敵な男子と出会った彼女、そのスクールライフに待ち受けるものは果たして?
ちょっと個性的な女子高生と友人たちのはつらつ学園ライフを描く『スキップとローファー』あらすじ紹介&感想です。
作者は全1巻SF漫画『カナリアたちの舟』の高松美咲さん。2022年6月現在、単行本は7巻まで刊行中。
『スキップとローファー』感想・レビュー
あらすじ
石川県のはしっこ、駅すらない田舎町から、東京の高校に進学する岩倉美津未(いわくら・みつみ)。
大学法学部を首席で卒業、総務省キャリアになって定年後は地元で市長、死後は海に散骨…という完璧な人生設計を描く15歳。
実際に成績優秀で高校にも首席入学し、新入生代表となる美津未。「私はこの高校生活 ただの一度だって失敗しない」と自信満々!
…で入学式に向かうも、初めての電車通学で迷っていきなり失敗、遅刻の危機!
そんな彼女に声をかけたのは、同じく新入生のイケメン男子・志摩聡介。
彼の手助けもあってなんとか駅に着いた美津未。入学式に間に合うようローファーを脱ぎ、裸足で駆け出してゆく―。
毎日お得!
理想と違う人間関係に苦戦?
同級生の数が一桁という田舎の中学出身ながら、東京の進学校に首席入学できる成績の美津未。将来のビジョンもしっかりと持ち、志し高く高校生活に臨みます。
しかし新入生代表として入学式で立派な挨拶をするも、もろもろの悪条件が重なって胃の中身をリバース(笑)。
一躍「吐いた人」として周囲に認識され、理想の高校デビューにいきなりつまずくことに。
また地方出身ゆえか、周囲との距離の取り方も、もう一つピンとこない美津未。
中学時代には無かった人間関係の難しさを感じ、同級生の何気ない一言に「勘ぐるような気持ち」が芽生えたりも。
そんな彼女が感じる「全能感と周囲とのズレ」が、共感性羞恥をビンビン刺激してきます。
しかし田舎の旧友の助言や持ち前の前向きな心、そして何より志摩くんら同級生の温かい眼差しを受け、やがてまっすぐな自分の心を取り戻していく美津未。
一人、異郷の地で奮闘しながら、徐々に人間関係を広げていく彼女の姿に、読みながら思わず「ガンバレ!」と力が入ってしまいます。
15歳の交流と変化
新生活で築く新たな関係。そこに希望や不安を持っているのは美津未だけではなく、クラスメートも同様。
意中の志摩くんと親しくする美津未を見て、打算的に友人になるミカ。
クールビューティながら気遣いの心を持つ結月。
地味な見た目を気にして人付き合いが苦手な久留米さん…。
十人十色な同級生たちが織りなす青春群像劇的なドラマの中で、各々の「悩みと成長」がきっちり描かれるのが、『スキップとローファー』の醍醐味。
思春期ならでは複雑な心情が、重くなり過ぎない感じで綴られ、ついつい感情移入。
そしてそこに関わっていく美津未。彼女が不器用ながらも素朴な心を見せていくことで、同級生たちに少しずつ変化が起こり、さらに誰かが誰かに少しずつ良い影響を与えていく。
微妙にして純朴な少年少女たちの関係性に、不思議な心地よさを感じます。
イケメン志摩くんの気になる過去とは?
そんな青春群像劇の中でとりわけ気になるのが、ふんわりイケメン・志摩くん。
飄々と立ち回り、外見だけではない繊細な心遣いから、クラスメートたちの心を掴んでいく彼。
しかし志摩くんには、触れられたくない過去があるようで…。
実は芸能方面に関わりがあった志摩くんは、仲間の美少女が絡んだトラブルにより人間関係に非常に慎重。
一見気さくに見えながらも、同級生たちとは一線を引くような素振りが。
しかし美津未や同級生たちと同じ時を過ごしていくことで、少しずつその内面が解きほぐされていくことに。
その過程がものすごく!心に染みます。志摩くんが5巻で見せる変化には、ちょっとした感動が。
そんな美津未と志摩くんを中心に、多感な時期にある少年少女の成長がゆるやかな笑いを混じえながら描かれていく『スキップとローファー』。
読むときっと、さわやかな感情が心に残るでしょう。
『スキップとローファー』まとめ
以上、高松美咲さんの漫画『スキップとローファー』感想・レビューでした。
やや特徴的な地方出身女子高生と友人たちとの交流。丁寧に描かれるストーリーが、心地よい読後感を残す青春漫画。
美津未と志摩くん、そして仲間たちが過ごすかけがえの無い時間。読み始めるとその輪の中に入りたい!と思わずにはいられない、不思議なトリップ感を味あわせてくれます。
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