ファンタジー漫画漫画感想・レビュー

漫画『最果てのソルテ』感想―妖精合体!驚愕の「2周目」ファンタジー

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両親を亡くし、育ての親に奴隷として売られた少女。運命に抗い世界の果てを目指すが、その旅には不思議な秘密が―?

最果てのソルテ 1巻 (ブレイドコミックス)

水上悟志さんの『最果てのソルテ』。ビックリ展開が満載!令和期待の冒険ファンタジー漫画です。2023年12月現在、コミックス1~3巻が刊行中。

『最果てのソルテ』感想・レビュー

どんな話?主なあらすじ

過去の大戦により「魔法汚染」が残る世界。少女・ソルテは研究者であった両親を亡くし、村長の手により育つ。

ある日、時間と空間の歪んだ洞窟から、瀕死の状態であらわれたサルベイジャー・サリエラ。かつて村長に奴隷として売られた彼女の言葉から、自身の運命を悟るソルテ。

サリエラから魔界の霊宝を託された後、「果ての果てまで行ってやる!!」と決意。サルベイジャーに売られるために、奴隷の道を受け入れる。

奴隷商の馬車に先客の訳あり剣士・フィロとともに乗り込むが、その道中、馬車は魔法汚染地帯へ。現れた巨大なモンスターに襲われ、絶対絶命のピンチ!

その時サリエラの霊宝から謎の妖精があらわれ…?

王道ファンタジー…からのビックリ展開

魔法、孤児、奴隷、霊宝、魔界、騎士団、そして謎のモンスター…。

そんな「よくある要素」を詰め込んだファンタジー・ストーリー。が、「よくある」で終わらないのが『最果てのソルテ』の面白み。

巨大なカボチャ状のモンスターに襲われたソルテたち。それを救うのはサリエラのペンダントから飛び出た、謎の妖精・セレン。そこからの展開が面白すぎる!

最果てのソルテ 2巻 (ブレイドコミックス)

「ソルテ!!また会えたな!!」と謎のセリフを吐くセレンはソルテに魔法を授けるのですが、その力でなんとソルテは「魔法少女」に

さらに「妖精合体!!魔法相転移魔女化!!」と叫ぶセレンはソルテの頭部に入り彼女を操縦。もう訳がわからん(笑)。

かくして「妖精が操縦する○ジンガーZ風魔法少女」となり、不死の剣士フィロと共に魔法汚染地帯を抜け出たソルテ。叔父・ブラックを探しに新たな街へ…と物語が展開していきます。

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実は「2周目」な冒険!

そんなビックリ展開に度肝を抜かれる魔法ファンタジー『最果てのソルテ』。が、ビックリなのはそれだけじゃない。第一話のラストでセレンは叫びます。

「さあ2周目だ!!サクサク行くぞ!!」

なんとセレン情報では冒険は「2周目」で、ソルテ、セレン、フィロ、ブラックの4人は「既に共に旅をしていた」ことが判明。

ゲームで「2周目」の概念は珍しくありませんが、それを「漫画」でやってしまうのは新鮮…!

そして一行は、2周目が始まった「トラップに引っかかり時間を巻き戻された魔界の奥地」を目指すことに。あらかじめ危険がわかっているので、それを避けることも可能。これぞ2周目のメリット!

だがそのために1周目との「ズレ」が生じ、予想外の展開が…?

既視感のある「新しい冒険」

そんな「意外過ぎる冒険」が描かれる『最果てのソルテ』。多彩な要素をこれでもか!とぶっこんで混ぜ込んで「見たことのない世界」が作り上げられている、非常にユニークなファンタジー漫画。

最果てのソルテ 3巻 (ブレイドコミックス)

作者・水上悟志さんは、『惑星のさみだれ』『スピリット・サークル』といった長編漫画や、短編集『放浪世界』、全1巻漫画『二本松兄妹と木造渓谷の冒険』など、魅力的な物語を生み出してきた漫画家さん。

その経験から生み出されていく「どこか既視感があるのに、新しい冒険」がめちゃくちゃ面白い!創造のパワーが読み手にモロにぶつかってきます。

そして巻が進むにつれ徐々に明らかになる、ソルテたちを取り巻く「世界の真実」。奇想天外のオンパレードなのですが、その中でも注目は、ソルテの叔父・ブラック

モグラ型獣人の彼、ソルテが絶対的な信頼を寄せる、頼りになる人物なのですが、その「素性」がこれまたビックリなもので…?読むと体の奥底から、笑いとゾクゾクが湧き出てくるでしょう。

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『最果てのソルテ』まとめ

以上、水上悟志さんの漫画『最果てのソルテ』感想・レビューでした。

ファンタジー漫画というジャンル、ややマンネリ化したような印象もありますが、逆に既存のアイデアや他ジャンルからのネタを引っ張り込んで、再構築したような物語は、実にインパクトがあります

ある意味パロディ的ではあるのですが、それをわかって作り、かつ新しいものに仕上げられていて、近年のテンプレ的なファンタジー漫画とは一線を画す魅力が付与されています。ソルテたちの摩訶不思議な冒険を楽しんでみてください。

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