コメディ漫画漫画感想・レビュー

漫画『ハルロック』―電子工作が世の中をやんわり救う!ライトな理系コメディ

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西餅(にしもち)さん描く「ハルロック」。電子工作が大好きな女子大生が主人公のコメディです。講談社モーニング誌に2014~2015年にかけて連載。全4巻完結済みです。

ちょっと眉毛に特徴のある主人公・ハル。左手に持っているのは…半田ごて?半田ごてとは、熱でハンダをジューッと溶かすやつ。小中学校の工作で使った方も多いでしょう。

それにしても「女の子+半田ごて」という組み合わせは、あまりピンとこないですよね。しかして「ハルロック」のおもしろさは、そのギャップにあるのです。

「ハルロック」レビュー

概要

幼少時は分解魔だった女子大生・向阪晴(さきさか・はる)。高校の電機部で電子工作にはまり、女子大生となってからはアキバのジャンク屋をまわる毎日。

そこで知り合った天才小学生・うに先輩や、幼馴染みにして晴を軽くストーキングする高校生・真下六祐(ましも・ろくすけ)たちと協力。日常のそこまで重要でない困りごとを、ゆるやかな思考で作った電子工作で解決していく。

…というコメディ漫画が、「ハルロック」です。

晴たちが作るものは、

  • 入院したおばあちゃんの話を聞いてあいづちを打つマシーン
  • ◯キブリのスピードを検知して警報鳴らすマシーン
  • ツイッターでぼっちを発見する「ぼっち・ザ・LED」

といった、「ちょっとズレた」発明品。そのズレが、笑いを産み出します。

なお電子工作というのは、はんだ付けといった基本的なものから、Raspberry Pi(ラズベリーパイ)などの電子基板・各種センサー・プログラミングを使ったりもする、幅広いものです。

ハルロック(1) (モーニングコミックス)西餅:講談社

珍発明が産み出す笑い

普通の人が「ふーん」と聞き流すような、ささいな問題。それを「ささい」のままにはせず、「何とか解決できないかな?」と考える晴。

そしてその解決手段に用いられるのが、電子工作。奇抜なアイデアと組み合わせて珍発明が生まれる、というところに笑いがあります。

例えば、うに先輩のおばあちゃんの話。入院中で、愚痴ばっかりのおばあちゃん。その愚痴を聞くための「会話マシーン」をい作れないか?と考える、晴とうに先輩。

会話を分析し、そのトーンから適切なテキストを選択。トークを成り立たせる仕組みを仕込んだぬいぐるみを作り上げます。

見事、おばあちゃんの愚痴に答えを返すぬいぐるみ。うまくいった!

…ように思えたのですが、おばあちゃんの悲観的な言葉にも「そうデスね」と返してしまって、あえなく失敗(笑)。

実は実現可能な発明の数々

でも、ただ面白いだけじゃないのが、「ハルロック」のすごいところ。ちゃんと「現実にできそうな仕組み」を考えて、実現化させています。

ぬいぐるみの件では、音声処理にラズベリーパイ(電子基板)を利用。ホントにできそう、というかできるんでしょうね。作中でも仕組みの説明があります。

そのほかにも、リアルな発明品が登場。留守中に、猫が何をしているかをツイートしてくる「猫ツイッター」を作る、という話(2巻、11Ω「つぶやき猫」)。

これは大反響を呼び、【猫見守りツイートシステム「neko-tter」】として実際に作成されたそうです。

http://morning.moae.jp/news/1677

第3巻 22Ω「ズボラ母は歌う」では、テレビリモコンが見つからない母の「リモコンさーんって呼んだら答えてくれればいいのに」という一言から、ラズベリーパイ+音声認識でお返事システムを作成。

結局いろいろ問題が出てきて、最終的には笑えるオチが付くのですが、これはちょっと欲しいかも、と思わせる内容。

必要は発明の母ですね。笑えて、笑えて、でもその発明品が産まれた背景と、作られる過程に、感心してしまう。ただのコメディに終わらない、魅力・おもしろさがあります。

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キャラクターの成長も魅力

そんなゆるふわ電子工作コメディが展開される物語ですが、笑い以外にも魅力があります。それは晴や六祐が、少しずつ成長する姿。

最初は、単純に自分が楽しければいい、という理由で電子工作をする晴。ですが、誰かの役に立って感謝されることに喜びを感じ、作ったものを誰かに届けたい、「ものづくり」の仕事がしたい、と考えるように。仲間たちの後押しもあり、なんと起業の道へと進みます。

また晴やうに先輩に較べて、「自分には何もない」と、焦りを感じていた六佑。晴や学校の友人たちとの発明や企画を経験し、「みんなと距離は遠いけど、自分のできる事から着実に、ゆっくりと取り組もう」と前向きな姿勢に。仲間からの信頼を得て、進むべき道を見つけます。

はじめは何気なくはじまったおもしろ電子工作が、やがて人を結びつけ、人間の成長へとつながっていく。あれ、「ハルロック」って、こんなに感動する漫画だったっけ…?

でも笑えて、すごくためになって、読んでいるうちに「自分も頑張ろう!」と思えてくるんですよね。特に学生など、これから進路を見つけようとする人に、読んでもらいたい作品。この漫画から人生のヒントが見つかるかも。

まとめ

というわけで、最後ちょっとかたくなりましたが漫画「ハルロック」。笑えてためになる、電子工作コメディ。もちろん笑うだけでも全然OKの、オススメ漫画です。

全4巻という手頃な巻数で楽しく読めるので、ぜひ手にとってみてください。楽しい電子工作の世界が待っていますよ。

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