オカルト・ホラー漫画漫画感想・レビュー

漫画『となりの百怪見聞録』感想―日常の「隣」に蠢く怪異描く純和風ホラー

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謎の画家に導かれ路地へ入ると、そこは日常の「となり」にある夜市だった。妖かし蠢く異世界で、青年は失せ物を見つけ出すことができるのか―?

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綿貫芳子さんの『となりの百怪見聞録(ひゃっかいけんぶんろく)』。ちょっと偏屈な装丁家と、怪しげな老画家。二人が織りなす純和風のホラー・ストーリーです。

連載は集英社のWeb漫画メディア「となりのヤングジャンプ」。2024年3月現在、単行本1~2巻が刊行中。以下『となりの百怪見聞録』の主なあらすじ・面白さ・見どころを、極力ネタバレ無しでご紹介します。

『となりの百怪見聞録』感想・レビュー

あらすじ

装丁(書籍のカバーや中身全般のデザイン)を生業とする片桐甚八(かたぎりじんぱち)。「夢の中で」財布を落とすが、それが現実となっていることに気づく。

偶然知り合った老日本画家・原田織座(はらだおりざ)の話によると、落とした場所は「鬼市(クイシ)」とのこと。

一部では「オバケ先生」として有名な織座に導かれ、人の世の理が通じぬ世界へと財布を探しに行く甚八。ひとつだけ受けた忠告は

「一言たりとも口をきいちゃならない」

漫画『となりの百怪見聞録』は、集英社の漫画アプリ「ヤンジャン!」でも第1話が試し読みできます。

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青年装丁家と老日本画家の妖しい交流

偶然の出会いを皮切りに以降、不思議な縁で繋がっていく甚八と織座は、怪奇現象に関わっていくように。

と言っても、怪奇現象に悩まされるのは主に甚八。

「鬼市」での体験から、「魔」の世界を身近に感じてしまうようになった彼が、「オバケ先生」である織座にやんわりと助けられていく、というのが物語の図式。

やや偏屈ながらも「仕事人」な甚八と、名のある画家でありながら謎多き織座。ほんのりBL風味を織り込みながら、個性あふれる二人が「妖しさ」あふれる交流を深めていく。

作者曰く「怪異と戦わない 仲良くならない 折り合いかわす怪奇ホラー漫画」といったテイストで物語が展開されていきます。

純・和風の美麗な怪奇世界

オリオリスープ』全4巻などの代表作を持つ作者・綿貫芳子さんは、個性的な絵柄にして「超」の付くほど美麗な作画の漫画家さん

この『となりの百怪見聞録』でも、その巧みな漫画表現力を遺憾なく発揮。

オリオリスープ(1) (モーニングコミックス)

グロ・スプラッタ系のホラーではなく、風情のある和風怪奇漫画ホラーといった体の本作。「黒」「影」「闇」に寄せた一コマ一コマから、にじみ出る迫力と美しさを感じます。

また「生活の隣にある不思議」感のあるストーリーには、奇妙な安心感が。甚八と織座、二人の個性的なキャラクターにものせられて、知らず知らず物語に引き込まれていきます。

…と!不意に描かれるホラーシーンがなかなか怖い!油断してるとちょっとビックリ(笑)。ホラーとしての本分を外さない、安定の恐怖描写にゾワッとします。

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センスあふれる描き込みがスゴイ!

そんな『となりの百怪見聞録』で個人的に特に目が行くのが、緻密に描き込まれた小道具や風景・背景。中でも虫や植物の描き込みは、圧巻

真夏のデルタ (FEEL COMICS)

少年少女たちの微妙な三角関係を描いた連作集『真夏のデルタ』(全1巻)でも感じたのですが、綿貫芳子さんは昆虫や植物の描写がスゴイ!

「虫」と言うと苦手に感じる人もいるかもしれませんが、「そこまで描き込まんでもええやろ…」と思わずにいられないその描写は、「美麗」の一言

さらにそれがホラーの雰囲気と相まって、得も言われぬ怖さ・妖しさを演出しています。そんな緻密な表現力にも注目してみてください。

『となりの百怪見聞録』まとめ

以上、綿貫芳子さんの漫画『となりの百怪見聞録』の感想・レビューでした。

圧倒的な作画力から生み出される、純和風の恐怖世界。ストーリー・キャラクター・ビジュアルと、多彩な角度から楽しめるホラー作品です。

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