【SF漫画感想】一色登希彦版「日本沈没」―手に汗握る、一気読み必至の全15巻

一色登希彦氏が2006年から2008年までビッグコミックスピリッツで連載していた漫画「日本沈没」全15巻を読みました。

当時スピリッツを購読していたのですが、途中で買わなくなって以来。続きが気になっていた漫画です。現在は電子書籍版を読むことができます。

「日本沈没」は言わずとしれた小松左京氏のSF小説が原作。1970年代の映画化、およびさいとう・たかを氏による漫画化。

それを経て2006年に一色登希彦氏により再度コミカライズされたのがこの「日本沈没」です(※2006年にも再映画化)。

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あらすじ

東京・新宿にある雑居ビルの地下で異常な熱が発生。「ビル全体が地面に沈み、飲み込まれる」現象が発生。

偶然、ビル地下の居酒屋に居合わせた深海潜水艇パイロット・小野寺俊彦、東京消防庁ハイパーレスキュー・阿部玲子、異端の地球物理学者・田所雄介は、小野寺の機転と阿部の行動力で辛くも難を逃れる。

しかし東京の一角で起こった出来事は、これから日本全体を巻き込む未曾有の災害の予兆に過ぎなかった…。

感想

…以上が物語の発端。これが後に日本全土を襲う未曾有の災害の前兆となります。

漫画「日本沈没」。全15巻となかなかのボリュームですが、おもしろくて一気読みしてしまいました。

では「日本沈没」の何がおもしろいのか?

一つはレスキューシーンなど局地的に描かれる場面場面の緊迫感。第1巻・日本沈没の「始発点」となるビル消滅事件はじめ、物語の随所に登場する人命救助に関わるシーンの緊張感あふれる展開。

一つは一転、災害発生時等のスケールの大きな部分の描写。絶望的とも言える迫力で描かれるそれ。「おもしろい」というには語弊がありますね。リアル過ぎて恐怖を感じます。

一つは政治的な駆け引き・判断の描写。時の日本国首相をはじめ、国の存亡をかけて逡巡し、時に冷酷ともいえる判断を下す人々。

そしてその合間合間で繰り広げられる、小野寺と阿部を中心としたヒューマン・ドラマ。

様々な魅力を持つ個別の要素が絡み合い、そこからぐいぐい物語の世界へ引き込まれ、気づくと読み手自身が大きなうねりの中に。そして常に頭上にのしかかるのは「日本沈没」の4文字。

あたかもその世界にいるかのような一体感・没入感にページをめくる手がとまらない、そんな迫力が全編からにじみ出ています。

みどころ

個人的に特にオススメしたい「日本沈没」の見どころ。まずは冒頭第一巻のビル消滅事件。沈みゆくビルからの緊迫した脱出劇。のっけから手に汗握ります。

続いて第2巻。小野寺が田所とその助手・幸長を伴って潜水艇で深海1万mに潜るシーン。日本沈没を予感させる「謎」の発見と、潜水艇を襲う危機。海の底の恐怖感が半端ない。

第4巻。京都で起こる地震を「100%の確率」で予測した学者・中田。それを受けて政治的決断を迫られる総理・緒方。「いつ、どこそこで地震が起こる」と言って誰がそれを受け入れる?理想と現実のジレンマ。

第6巻で描かれる、東京を襲う地震。災害に弱い都市への警鐘が、過去の事例を踏まえながら描かれます。満員の電車、揺れる高層ビル、水没する地下、災害後に起こりうる懸念。絶望的とも言える内容。

エンターテイメントの枠を超えた、リアルな描写に惹きつけられます。

まとめ

以上、一色登希彦版・漫画「日本沈没」全15巻の感想でした。地震や数多くの災害に遭遇してきた日本に住む人間にとって、「おもしろい」の枠におさまらない漫画です。

フェアに書くと、気になる点も無いわけではありません。例えば日本沈没を食い止めるために日本近海で◯◯使ったら周辺諸国からの反発があるだろう、とか。あとは原発に冠する描写が無いのは少し物足りない。

またネットの感想もいくつか見ましたが、ラストに対しては賛否両論あるようで。最終ページには「第一部 完」とありますが、漫画としてはこの全15巻で完結しているようです(第二部は小説?)。

ただ個人的にはラストも含め、全15巻の内容にはほぼ満足しました。エンタメとしても災害に対する教訓としても、得るものが大きい漫画でした。読み終わったあとは、なんだか今いる地面・足もとが何だかおぼつかなくなるような錯覚があります。

特に序盤1・2巻は一度読み出すと止まらない迫力・緊迫感があります。試し読みでもいいのでぜひ「日本沈没」の世界に触れてみてください。その圧倒的な魅力を感じていただけると思います。

漫画データ
タイトル:日本沈没 1巻著者:一色 登希彦出版社:Beaglee発行日:2015-05-15
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