コメディ漫画漫画感想・レビュー

漫画『推しが武道館いってくれたら死ぬ』感想―女ドルオタの情熱に笑い、泣く

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推しメンが武道館に行ってくれたら死んでもいい!

7人組地下アイドルの「人気最下位メンバー」と、その「ただ一人のファン」である女性ドルオタ(アイドルオタク)。二人の交流をコミカルに描く、平尾アウリさんの漫画「推しが武道館いってくれたら死ぬ」。

単行本は徳間書店RYUコミックスより6巻まで発売中、以下続刊です。それにしても「推しが武道館いってくれたら死ぬ」、というタイトルがインパクト強すぎ。

「推しが武道館いってくれたら死ぬ」レビュー

概要

なにやら物騒なタイトルの漫画「推しが武道館いてくれたら死ぬ」。その核となる人物は二人。

岡山県というやや地味目な(岡山の人ゴメンナサイ)地域で活動する、7人組マイナー地下アイドル「ChamJam(ちゃむじゃむ)」。その中の人気最下位メンバーである「舞菜(まいな)」。

その舞菜にイベントで一目惚れ。以降、人生の全てを彼女に捧げることになる女オタ「えりぴよ」。

二人の交流を軸に、えりぴよのドルオタ仲間くまさ・基(もとい)や、「ChamJam」のメンバーれお・空音(そらね)・眞妃(まき)・優佳(ゆうか)・ゆめ莉(ゆめり・文(あや)を混じえて、アイドルグループやドルオタ(アイドルオタク)の世界がコミカルに描かれます。

舞菜をひと目見た時からぞっこん。彼女のCD・グッズを買うためにバイト収入の全てを注ぎ込み、自身は学生時代の赤ジャージで過ごす舞菜のTO(トップ・オタ)・えりぴよ。

そんなえりぴよに塩対応?と思いきや、内気な故に自分の気持ちを伝えられず、実は密かにえりぴよのことを想っている舞菜。

そんなアイドルとドルオタの、ちょっとズレたコミカルな交流が、笑いを誘います。

推しが武道館いってくれたら死ぬ|COMICリュウ
平尾アウリ/著。彼女のすべてを応援したい…。“アイドル”と“ファン”の百合♥
推しが武道館いってくれたら死ぬ(1) (RYU COMICS)平尾アウリ:徳間書店(リュウ・コミックス)

リアルに描かれる「地下アイドル文化」

私、人生でアイドルとか芸能人にハマった時期というのが、あまり無い人間でして。だからここ10年ぐらいですかね。急成長したアイドル産業というのがもう一つ理解できなかったんです。

なんで握手したり、チェキ撮るために、ファンは同じCDやグッズをいくつも買うんだろう、なんてずっと疑問だったんですが。

でも、この漫画を読んで良くわかりました(笑)。

この「推しが武道館いってくれたら死ぬ」はスゴイです。アイドル側の描写・ドルオタ側の描写とも本当に細かくて、門外漢である私にも、地下アイドル事情がすんごく伝わってきます。

もともとオタク気質があるからなんですけどね。

ChamJamメンバーとファンたちの調和

ファンとの交流を大事にして、地道にライブ活動を続けるアイドルグループ・ChamJamの7人。

一方、ファンとしての節度を守りながら、精一杯(資産の限り)を尽くして推しメンとの触れ合いに喜びを感じ、そして彼女らがビッグになる後押しをするファンたち。

楽しそうやなぁ…。私もあと25年遅く生まれてたらハマってましたねw。多分。

ファンは「お金を出してこその接触」にこだわったり、「1000円で買う推しの5秒(握手をできる時間)」に興奮したり。アイドル側も「明日は物販の販売制限あるから早めに来てねー❤」みたいなことをしれっとアピールしたり。

一般人から見ると、なかなかシュールな世界ではあります。でもそれがバランス取って調和している様が描かれるので、なんだか読んでてそれが当たり前、っていう感覚になってくるから不思議(笑)。

地下アイドルの独特な世界を「特別」ではなく、「さも当然」といった体で描いているので、なんだか「推しが武道館いってくれたら死ぬ」の風景が当たり前なんじゃないか、そんな錯覚を抱きます。

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女オタ「えりぴよ」がおもしろすぎる

そんなChamJamとファンの交流の中で描かれる、アイドル・舞菜とガチオタ・えりぴよのふれあい。アイドル文化という文脈の上に成り立つやり取りが、面白い。っていうか、えりぴよのキャラクターが強烈過ぎてめちゃくちゃ笑えます。

舞菜が好きであることを、握手などの「接触」時に必死でアピールするえりぴよ。でもなぜか塩対応する舞菜。しかしそれはえりぴよの行動が迷惑だからではなく、密かにえりぴよに好意をもっているから。

ファンとアイドル。立場は違うけど実はお互いに想い合っている、しかしその立場の違い故にズレが生じる。そのズレがおかしみを産み出すのですが、なんだろう、なぜかせつない…!

3巻でメイド喫茶のバイトをしている舞菜(ローカルアイドルなのでバイトもする)に、偶然出会ったえりぴよ達。普通はアイドルに近づけたらうれしいですよね。しかしなぜか悲しむえりぴよ。

「お金出してない!お金出してないのに舞菜と会話なんかできないよ―!!」

うんうん、わかる…わかんねーよ!(笑)実にこじらせてます。

そんなえりぴよと舞菜や、ほかのファンとアイドルの交流を見ているうちに、読者もすっかりドルオタ気分。ホントにChamJamのファンになったみたいで何だか楽しいです。

センスの良いコメディに加え、アイドルの世界を手抜き無しでしっかり描いているから、なんでしょうね。ぐいぐい引き込まれます。

まとめ

というわけで「推しが武道館いってくれたら死ぬ」、めちゃくちゃ面白い漫画でした。笑う。笑うんだけど、なんだかちょっとせつなくなってしまう不思議な魅力を持っています。続きが楽しみです。

巻が進むにつれ、ローカルアイドルだったChamJamにもついに〇〇進出の話が…?なんて展開にもなっていくのですが、そのあたりはコミックスでお確かめを。

 

ちなみに私の推しメンは優佳です(→絶対だまされるタイプ)。

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