漫画「プリンセスメゾン」―理想の家を求めて女性たちは今日も

池辺葵さんの漫画「プリンセスメゾン」を読みました。コミックスは本記事作成現在4巻が出たばかりですが、1~3巻までの感想です。

池辺葵さんの作品は「雑草たちよ、大志を抱け」を楽しく読ませていただいたのですが、今度は長編。どんなストーリーを見せてくれるのでしょうか。

やさしさが、輝ける瞬間―「雑草たちよ 大志を抱け」池辺葵

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概要

年収200万円代。居酒屋で働く独身女性・沼超さん。オリンピックを控えた東京で「理想の家」を求め、今日もモデルルームをめぐる。

そんな沼超さんと、彼女が足繁く通うモデルルームスタッフの生活を中心に、「現代を生きる女性たちと家」を描いた群像劇。

「プリンセスメゾン」1~3巻感想

基本、一話完結の「プリンセスメゾン」各話。沼超さん(沼ちゃん)や、彼女が顔なじみとなったモデルルームのスタッフたちの家に対する思いが描かれます。また群像劇ということで、住まいにまつわる女性のライフスタイルも時折登場(沼ちゃんたちと関係なく、オムニバス的な扱い)。

いやー、池辺葵さんの漫画、やっぱり良いわ…。一言でいうと「雰囲気がある」なんですが、その雰囲気を形作りあげているのはキャラクターの表情、仕草、風景。漫画だから当たり前じゃん、と思われるかもしれませんが、セリフに頼らないその表現力がスゴイ。

人物の微細な表情の変化や、その心の内を表現しているかのような景色。池辺さんの作品はおそらく他の漫画と較べてネーム(セリフ)はかなり少なめだと思われるのですが、それ故にキャラクターの心情を読者が推し量る余地が充分にあり、「絵を読む楽しさ」を感じます。

特徴的なのは女性たちの「背中」。背中を向けているシーンがこれも比較的多めな印象なのですが、日々の生活の合間に見せる彼女たちの背中が、物言わずとも読者にその心情を語りかけてくる。素敵な表現。

「プリンセスメゾン」ではいろいろな女性(男性も少し)と住まいとの関わり・想いが描かれるのですが、やはりイチオシはメインの沼ちゃん。彼女の朴訥とした雰囲気、しかし芯にある強さ。日々はたらき、通帳を眺め、理想の間取りを想像し、時に少女のように眼をキラキラと輝かせる。

そんな彼女は足繁くモデルルームに通い、不動産屋さんと共に物件探しを繰り返す。少しでも良い物件に巡り逢うために。その沼ちゃんとスタッフさんたちとの心の交流がすごくいい。受付女性さんたちとは「沼超さん」から次第に「沼ちゃん」と呼ばれる仲に。

そのうちの一人、沼ちゃん勤務の居酒屋で親しくなり、やがて沼ちゃんの部屋に招かれる要さん。部屋で物件の話をしながら、要さんが沼ちゃんの横で何気に寝転ぶ。彼女たちがお客とお店の関係から「友達」になった瞬間。このシーン、すごく好き。大人になってからの友達っていいですよね…。

そんな静かなドラマにあふれた漫画「プリンセスメゾン」。繰り返し読みたくなる魅力、マンガ表現の奥深さを感じさせてくれる作品です。夜、寝る前に寝転びながらしっとりその雰囲気を楽しみたい、オススメの漫画です。

漫画データ
タイトル:プリンセスメゾン(3) (ビッグコミックス)著者:池辺葵出版社:小学館発行日:2016-10-19
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