SF漫画漫画感想・レビュー

漫画『スピリットサークル』感想―少年と少女を縛る輪廻の環

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少年の命を狙う少女。その胸には遠い過去からの因縁が刻まれていた―。

水上悟志さんのSF漫画「スピリットサークル」を読みました。2012年から2016年にかけて少年画報社「ヤングキングアワーズ」に連載。全6巻完結済みの漫画です。

水上作品にふれるのは「惑星のさみだれ」以来。「スピリットサークル=魂環」というタイトルがいいですね。SF心をくすぐられます。

「スピリットサークル」レビュー

あらすじ

中学二年生の桶屋風太(おけや・ふうた)は、額に大きな傷のある転校生・石神鉱子(いしがみ・こうこ)の後ろに、「背後霊」の姿を見る。

風太は鉱子に好意を抱き、鉱子も友好的な態度を取るが、背後霊の姿に風太が気づいていることで風太を敵と認識。手に持つ円環「スピリットサークル」で風太を攻撃する。

気を失った風太は、過去生(前世)で少年「フォン」として目覚め、やがて鉱子に似た神官と因縁をつくる。そして現代に戻った風太に、鉱子は冷たく言い放つ。

「あんたには あと7回 死んでもらうわよ」

スピリットサークル (1) (ヤングキングコミックス)水上悟志:少年画報社

「過去生」が紡ぐ輪廻の輪

冒頭から少年と少女のバトルで始まる「スピリットサークル」。予備知識無しで読んだので最初は「バトル漫画なのかな?」と思っていたのですが、それは大きな勘違い。本格的なSFで、嬉しい誤算でした。

過去生の因縁により風太を憎み、彼を付け狙う鉱子。彼女の敵意が理解できず、スピリットサークルの力で前世をたどる風太。7つの人生を体験することでやがて真実を知り、そして二人は…という図式。

この「過去生」が面白い。古代エジプト風だったり、江戸時代だったり、はたまた別次元の◯◯だったり。風太と鉱子だけでなく、現世での友人たちもそこかしこに登場(過去生として)し、「スピリットサークル」の世界が次第に形作られていく感じ。

二人が戦う理由とは?

なぜ風太と鉱子は戦うのか?戦いに決着は着くのか?が気になっていくのですが、途中で当然のように湧き上がる疑問が。

「どこかで因縁を断ち切ればいいのでは?現世がそのチャンスではないのか?」

しかししかし、それができない理由もちゃんと用意されていて納得。

そしてやがて迎える最終決戦。漫画によっては勢いだけで終わっちゃう作品もあるのですが、「スピリットサークル」はそうじゃない。それまでに丁寧に築き上げてきた積み重ねが、最終局面で収束・結実していく。

楽しいことも、それ以上に辛いこともあった「生」の数々が、脳裏に浮かぶ。風太と鉱子がたどった「過去生」に思いを馳せずにはいられない、そんな盛り上がりにゾクゾクします。

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伏線にやられた

そして、特に重要でないと思ってサラリと流していた「アレ」が、最後にガツン!と効いたあのシーン。ネタバレ無しなので書きませんが、してやられた感じでくやしい(笑)。

全てを読み終えたあとは、良いSF漫画を読ませてもらった、という充実が残りました。満足。

まとめ

というわけで水上悟志さんの漫画「スピリットサークル」の感想・レビューでした。全6巻という絶妙な巻数で、無駄なくまとまった感じの良SF漫画だと思います。オススメ。

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