「夜と昼を別つ子」として生まれた双子の兄妹は、その「力」ゆえ数奇な運命に巻き込まれていく…!
荒川弘さんの『黄泉のツガイ』。宿命を背負った兄妹を、神秘的な力を持つ「ツガイ」を絡めて描く、伝奇アクション・バトル漫画です。
連載はスクウェア・エニックス「月刊少年ガンガン」で、2022年6月現在コミックス1巻が刊行中。
『黄泉のツガイ』感想・レビュー
あらすじ
夜明け前と後に分かれて生まれ、「夜と昼を別つ子」となった双子の兄妹・ユルとアサ。外界と隔絶された村で健やかに成長し、自然の中で平和な暮らしを送っていた。
そこに突如現れた襲撃者たち!村人たちを殺戮し、アサのもとへと迫ってゆく。それを防ごうとしたユルだったが、襲撃者たちのもつ不思議な力に歯が立たない。
間一髪の所を村の青年デラに助け出され、入口にある「左右様」の像へ連れてこられたユル。デラに促され二体の中央に血を注ぐと、男女の姿をした「対なるもの」が出現。それは驚異的なパワーを持つ神秘的な存在「ツガイ」だった…!
迫真の「ツガイ」バトル
かくして「左右様」という「ツガイ」を得て、村を襲った「敵」に立ち向かうことになったユル。運命を背負ったその過酷な戦いが『黄泉のツガイ』で描かれていくのですが、多彩なギミックが仕込まれた第一話が非常に面白い!
実は上記のあらすじ紹介では、意図的に「肝心な部分」をだいぶ端折ってます。ネタバレしちゃうと面白さが半減しちゃう内容なので、ぜひ予備知識無しで読んでいただきたいところ。
「今度の物語はこういう系の話なのか」という読者の予断を、コロッとひっくり返すストーリーの運び方は、『鋼の錬金術師』ほかヒット作を生み出してきた作者・荒川弘さんならでは。有無を言わさぬスピーディな展開に引き込まれます。
また本作の独自要素「ツガイ」の存在がユニーク。これは式神・使い魔・スタ○ド的な、主人公の相棒としてバトルをする存在なのですが、文字通り「ペアでワンセット」なのが大きな特徴。
「男女の鬼」のような左右様のほか、「大きな上顎と下顎でひとつ」のツガイなどが登場。自由度の高いデザインとそれによる動きの変化が面白く、今後のバトルの盛り上がりを予感させます。
他方、そのツガイ「左右様」と主人公・ユルの出会いについては、強力な力を手にするにしては劇中の方法だと条件がゆるいのでは?と気になる部分が。また2話以降、状況に対して無知なユル(≒読者)に対して、やや説明の比重が多い気も。
個人的にはもう少し物語のペースを遅くして、ミステリアスな雰囲気を味わいたかったのですが、この辺りは昨今の「1巻が売れなければ…」みたいな事情もある、のかも…?これが今後の爆発的な展開に繋がるのを期待したいところです。
『黄泉のツガイ』まとめ
以上、荒川弘さんの漫画『黄泉のツガイ』の感想・レビューでした。
とにかく読者を物語に引き込む第一話が圧巻。そして開示された情報と多くの謎が、今後どのように融合していくのか?伝奇アクション・バトルのさらなる加速が楽しみです。
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