何でも取材する雑食系ライターが、行く先々でなぜか!仕入れてしまう怖いネタ。
そんな恐怖話の数々をコミカライズしたのが、漫画『どすこいスピリチュアル』シリーズ。ちょっとコミカルだけどガチで怖い!実話系ホラー・オムニバスです。
原案はライターのTANAKAさん、漫画は小林薫さん。大都社/少年画報社の雑誌『実際にあった怖い話』連載で、2023年7月現在、下記の5冊が単行本として刊行されています。
- どすこいスピリチュアル 呪詛の家
- どすこいスピリチュアル 人体模型の闇
- どすこいスピリチュアル 事故物件の怪
- どすこいスピリチュアル 嫁鳴村
- どすこいスピリチュアル 言霊ホタル
以下『どすこいスピリチュアル』が気になる方向けに、主なあらすじや見どころなどを基本ネタバレなしでご紹介します。
『どすこいスピリチュアル』あらすじ
漫画『どすこいスピリチュアル』の主人公は、ライター・タナカ(TANAKA)さん。
何でも書く「雑食系ライター」なのですが、取材先でなぜか!オカルト系の恐怖話を仕入れてしまう、という特技が。
その時に聞いた話や、関連して彼女が体験した恐怖などが、比較的ソフトなタッチで描かれていきます。
漫画担当の小林薫さんは、オカルト・ホラー漫画『強制除霊師・斎』など、多数のホラー・実話系コミックを描かれている漫画家さん。
『どすこいスピリチュアル』もホラー漫画ですが、怖さに加えてほんのり笑える要素もあるのが特徴です。
なおタイトルの『どすこい』は、タナカさんの事務所兼自宅が両国にあること、また原案のタナカさん・作画の小林さん・編集さんの3人がややふくよかな「どすこい体型」であること(笑)に由来。
また『スピリチュアル』は開運系ではなく、「心霊的」なニュアンス。基本的には「実話系ホラー」という体裁のオカルト・ホラー漫画です。
『どすこいスピリチュアル』レビュー
ちょっと笑えてじんわり怖い恐怖話
「雑食系ライター」のタナカさんが仕入れた話は、
- 質屋で買った指輪を身につけてから、体調の優れない女性。ふと鏡を見ると…(『馴染みの質屋』)
- 田舎の新築日本家屋を借りた若夫婦。しかしその間取りに違和感が。「大工しか知らない隠しスペース」を開いてみると…(『呪詛の家』)
- エステサロンに来た「真っ黒い」客。施術をしたエステティシャンは必ず体調不良に…(『黒い人』)
など、バラエティに富んだもの。そしてそのどれもがしっかり怖い!
怖い!…のですが、タナカさんのほがらかな見た目もあって(笑)、ちょっと和むオチが付く。
ホラー漫画でありながら非常に親しみやすいのが、『どすこいスピリチュアル』の特徴。
まあ中には「それは体験者の思い込みでは…?」みたいなのもあったりするのですが、そこはご愛嬌。
基本は「こんな怖い話がホントにあった!」というよりは「こんな話もあったかもしれない…」的なスタンスで、丁度よい感じの恐怖感があります。
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時折ぶっ込まれる「ホンモノ」ホラーが恐ろしい!
そんな気楽~に楽しめる恐怖話の数々。しかしその中に、時折心底怖い「ガチな話」がぶっ込まれてくるのが、『どすこいスピリチュアル』の侮れないところ。
- 大学病院にセールスに来た、外国の人体模型ブローカー。その精巧さの秘密は…?(『人体模型の闇』)
- タナカさんが仕入れたとびっきりの恐怖話。しかしそれを記事にしようとすると、不可思議な出来事が…(『書くな!』)
- 母子家庭で母も働いていなかったのに、なぜか裕福だった男性。その秘密とは―(『運命のふたご』)
など都市伝説感あふれる話や、「実は人間が怖い」的な話も登場。心霊系だけではない、幅広い方面の恐怖を味あわせてくれます。
しかし話の終わりには、必ず「タナカさんの自虐オチ(笑)」がつく。
社会の闇を見たあとに、きっちり現実に引き戻してくれる安心設計が、精神的に優しいオカルト・ホラー漫画。怖い話が苦手な人でも楽しめるでしょう(多分)。
先の見えない「カレンダー」が示すものは?
よくある心霊系の恐怖話だけでなく、オカルト系の不思議な話も豊富な『どすこいスピリチュアル』。
その中から印象的な一編『頭の中のカレンダー』(『事故物件の怪』収録)をご紹介。
とあるカレンダーメーカーに取材に来たTANAKAさん。そこには「頭の中にあるカレンダー」を覗くことで、「年・月・日から曜日が分かる」という特技を持つ女性社員さんが。
しかし過去、彼女が「カレンダーの未来がどこまで見えるか」を試してみたところ、「2035年」から先の未来がどうしても見えなくて…という話。
何の話かと言うと、#どすこいスピリチュアル 「事故物件の怪」収録の#頭の中のカレンダー という作品で
未来に起きる出来事がわかる女性が、2035年から先の未来が見えないというお話でした#やりすぎ都市伝説 怖かった… 🥶https://t.co/ImgbwFIh2e pic.twitter.com/3plE2Y5goO— 小林薫 斎新刊「屍人の聲」12/15発売 (@kobayashikaoru) December 17, 2021
さて、見えないことにはどんな意味があるのか。能力の限界なのか、それとも…?想像するとちょっとゾッとするのですが、信じるか信じないかはあなた次第?
レビューまとめ
以上、TANAKAさん・小林薫さんのオカルト・ホラー漫画『どすこいスピリチュアル』シリーズのネタバレなしレビューでした。
良い意味でライトな、しかしリアル感のある実話系ホラー・オムニバス。ちょっと笑えるタイトルですが、充実の恐怖を味あわせてくれます。どすこい!
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