警察署の駐車場に置かれた「パンドラの箱」。その蓋を開けたとき飛び出るのは災いか、それとも―?
中川海二さんの漫画『DYS CASCADE(ディス カスケード)』。とある町で起きた不可解な猟奇殺人と、それを追う刑事たちを描く、迫真のサイコ・サスペンスです。
連載は講談社のWeb漫画メディア「コミックDAYS」。2023年9月現在、単行本が5巻まで刊行中。
以下『DYS CASCADE』の主なあらすじ・面白さ・見どころを、これから楽しむ方のために極力ネタバレ無しでご紹介します。
『DYS CASCADE』感想・レビュー
あらすじ・概要
管内で殺人事件が発生。県警本部の女性警部補・宇賀田と、ベテラン刑事・三坂は、現場で全裸女性の遺体を検分。彼女が「特殊な方法」で殺害されたことを知る。
その後、被害者の身元が判明するも、犯人の目星はつかず。三坂は宇賀田に、「殺し方がこなれ過ぎている」と事件の印象を語る。果たして同様の事件が他にも―?
そして捜査の中で、三坂の携帯に「駐車場に置いた」と謎の着信が。
警察署内の駐車場を探すと、血痕が付着しているフタ付きのポリバケツを発見。
フタを開けるとそこには…?
ポリバケツの中身は…
サイコ・サスペンス『ROUTE END』全8巻ののち、アクション・ファンタジー『環の影』を描いた作者・中川海二さん。
本作『DYS CASCADE(ディス カスケード)』で、再びサイコ・サスペンスの世界へ戻ってきました。
では本作のどこが「サイコ」なのか?
まずは事件の発端となった女性殺人事件。被害者を吊るして内股を切り、失血死させる、という手口に、尋常では無い空気を感じます。
が!本当にサイコなのはここから。
三坂が駐車場で見つけたポリバケツ。その中に入っていたのは…人間の前腕!しかも大量の血液に浸かって…。
もし血液が人間のものならば、12人分の致死量に相当する量。これは連続殺人の幕開けなのか…?
そして防犯カメラに映る「とある人物」、その姿に驚愕…!
これ絶対事件に関係あるやつやん!のっけから続く不気味な展開に、背筋がヒヤリとします。
不穏な空気に引きずり込まれる!
そんな異常な事件を捜査するのは、女性警部補・宇賀田と、ベテラン刑事である三坂(階級的には宇賀田が上)。
専業主夫の夫と高校生の娘を持ち、県警でも「やり手」と評価され、しかし現場ではジョークを飛ばしたりもするちょっと愉快な?女性刑事・宇賀田。
一方、彼女よりだいぶ年上ながらも実直な態度を崩さず、要所要所でベテランらしい「味」を見せていく刑事・三坂。
それぞれユニークなキャラクターで、事件を契機に良いコンビとなっていく、その掛け合いも『DYS CASCADE』の面白み。
が、実は浅からぬ「縁」のある二人。そして謎の多い事件は、やがて二人の「過去」にも絡み…?
過去作『ROUTE END』でも、雰囲気のあるサスペンスを描いた中川海二さんですが、本作でもその手腕を大いに発揮。
不穏な空気の醸造がとても上手く、普通の人間の理解が及ばぬサイコな世界へ、グングン引きずり込まれていく…!
まだまだ物語は序盤ですが、不可解かつ異常過ぎる事件に、不安を感じずにはいられない…!
『DYS CASCADE』まとめ
以上、中川海二さんの漫画『DYS CASCADE』の感想・レビューでした。
猟奇的な殺人事件の犯人は?切断された右腕の意味は?そして12人分の血液の持ち主は…?
わからないことだらけの1巻、徐々に深みにハマる2巻と、一度読めばすでにその不穏な空気の虜に。どんな展開を迎えるのか、期待が高まります。
…怖いけど!
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