コミックエッセイ「白米からは逃げられぬ ~ドイツでつくる日本食、いつも何かがそろわない~」感想

海外在住の作者を不意に襲う、日本食への欲求。しかし作ろうにも材料が揃わない。それをドイツの食材で代用してみると、意外な結果に―?

そんなグルメエッセイ漫画「白米からは逃げられぬ ~ドイツでつくる日本食、いつも何かがそろわない~」は、ドイツ在住の漫画家・白乃雪(しろのゆき)さんによる、ちょっと風変わりなグルメレポです。

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「白米からは逃げられぬ」レビュー

概要

作者の白乃雪さんは、グルメコメディ「あたりのキッチン!」全4巻の作者。

「あたりのキッチン!」全4巻―コミュ下手女子大生の成長描くグルメコメディ
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白乃雪さん自身は日本生まれ・関西育ちですが、大学時代に日本で知り合ったドイツ人の夫と結婚。その後ドイツ・バイエルンに移住し、「あたりのキッチン!」や「白米からは逃げられぬ」の連載もドイツでおこなったという漫画家さんです。

ドイツ暮らしを満喫している白乃雪さん。しかし時折、不意に「日本食たべたい欲求」に襲われることが。そこでいざ日本食を自作しようとするも、ドイツでは思ったより日本食の材料が手に入らない!

そこで「ひらめき」を駆使して代用食材を調達。「なんちゃって日本食」を作ってみると、これが意外にもおいしい!結果に。そんな料理の数々を、コメディタッチな全30話で伝えてくれます。

白米からは逃げられぬ ~ドイツでつくる日本食、いつも何かがそろわない~ (コミックDAYSコミックス)白乃雪:講談社

日本食用の材料が揃わない

ドイツでの食生活に、特に不満のない白乃雪さん。しかし時折、「和食が食べたい!」という衝動が来るそう。日本に住んでいると「食べたかったら作ればいいんじゃないの?」と思いがち。ですが海外では、意外と食材が揃わないもの。

調味料などは、通販やアジアマーケットで手に入れることができますが、地理的・金銭的(高い)なハードルあり。またバイエルンは、日本食の主材料の一つである魚が少なかったり、日本で当たり前の野菜が無かったり、といった環境。

知恵と工夫で素材を代用

しかし、なんとしても和食が食べたい白乃さん。素材が無ければ似た食材で代用してしまえ!と、比較的手に入りやすい食材で「あの和食」を再現しようとします。

例えば第一話のちらし寿司。まずは刺し身をアボカドで。これは日本でも「似た感じ」なのは良く知られているところ。けれどもドイツではタケノコと菜の花が無い(手に入りにくい)。

これは食感が似ている(?)カリフラワーとほうれん草で、「あやしい」と感じながらも無理やり代用。他にもリンゴ酢を寿司酢の代わりにして、何とかちらし寿司の形に。

他にもレモンと青唐辛子で「柚子胡椒」風にしたり、スモークサーモンやニシンの塩漬け+昆布で「柿の葉寿司(押し寿司)」風にしたり。このアイデア、そして日本食への飽くなき執念が、実に読ませるおもしろさ。

オリジナルを超える出来?

試行錯誤の末に完成した、「なんちゃって日本食」。が、これが意外に、というか予想以上に「おいしい」とのこと。

もちろん純粋の日本食とは微妙(または大幅にw)異なるものですが、これはこれでおいしいというか、日本では決して考えつかない組み合わせによる、新たなおいしさの発見が、そこにあります。

紅生姜の代用品「ガリ」が牛丼に合ったり、小豆の代わりにレンズ豆で作った「あんこ」が絶妙な味加減だったり。

日本に居ても、「え、そんなにおいしいんだったら作ってみようかな…」と思わずにはいられない魅力的な料理の数々が、作中に登場します。

日本とドイツの食文化が見える

そんな「白米からは逃げられぬ」を読んで気づくのはドイツの食文化と、翻って見えてくる日本の食文化。

じゃがいも・ソーセージ・ビールの他にもドイツで好んで食べられているものや、ドイツ独自の食材に加え、同じ野菜などでも微妙に食感や風味が異なるものがあるそうで。ドイツ人夫との味覚・嗜好の違い・対比もおもしろい。

そして普段わたしたちが日本で料理に使っている食材が、実は他の国では簡単に手に入らなかったりする、という事実。料理なんて材料さえ揃えばどこでもできるんじゃないか、と思いますが、その材料が日本独特のものだった、という。

海外在住の日本人の目を通して、そういう事実に気づく、というのがとても興味深い。と同時に、白乃雪さんのようにアイデアを膨らませれば、日本食の新たな扉が開けるのかもしれない、なんてことも感じます。

まとめ

というわけで白乃雪さんの漫画「白米からは逃げられぬ ~ドイツでつくる日本食、いつも何かがそろわない~」の感想・レビューでした。

なんか固くなってしまいましたが、肩肘張らずに気軽に読めるグルメ・エッセイです。読んだあとはお腹が空くと同時に、「ちょっと新しい日本食にチャレンジしてみようか」なんて気になる一冊。「日本人によるドイツの日本食」の世界を楽しんでください。

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