朱戸アオ漫画は医療サスペンスの隠れた名作揃い

読み始めるとドキドキが止まらない!

医療にまつわる良質なミステリー・サスペンス漫画を数多く手がけられている、朱戸アオさんの作品をご紹介します。

朱戸アオさんは現在、講談社イブニングにて「リウーを待ちながら」を連載中(※完結しました)。

パンデミックの恐怖を描いた同作ほか、読みやすい単巻完結の漫画を発表されています。

というわけで以下、朱戸アオ先生の既刊漫画のご紹介です。どの作品も、良質の医療ミステリー・サスペンス作品。

読み始めると、グッとその世界に引き込まれる作品ばかりです。

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Final Phase

周辺を海に囲まれた、新興の湾岸地区。ある日、救急患者が病院に大量に運ばれるが、その半数は搬送後24時間以内に死亡。

患者たちはいずれも「溺れる…」という言葉を遺し息絶えるが、死因は不明。同地区の総合病院に勤める女医・鈴鳴は、何らかの感染症の発生を疑う。


[朱戸アオ 著 PHP研究所「Final Phase」より引用]

国立疫病研究所から派遣された羽貫とともに、調査を開始する鈴鳴。しかしその間にも事態は進行。

爆発的に増える感染者。やがて湾岸地区は封鎖され―。

Final Phase (PHPコミックス)著者:朱戸アオ出版社:PHP研究所発行日:2011-12-23

原因不明の病気によるアウトブレイクを描いた、本格医療ミステリー「Final Phase」。「フェイズ」とは、パンデミックにおける警戒区分の分類です。

朱戸アオ作品の主人公は今作の鈴鳴・羽貫のように、一人は真っ直ぐな女性、もう一人は天才肌で変わり者の男性、という二人体制を取ることが多く、本作はその基本形とも言える作品。

限定された地域で発生する、原因不明の感染症。事態を収束させるために、命を賭けて奔走する主人公たち。

いつ自分の身に起こるやもしれない、決して他人事ではない恐ろしさ。そして緊迫感あふれる医療の最前線を知ることのできる作品。後述の「リウーを待ちながら」の原型ともなった漫画です。

リウーを待ちながら

自衛隊の駐屯するS県横走市で、中央病院に勤務する女医・玉木。ある日、病院前で倒れた自衛隊員と男性、二人の急患に対応する。

同僚の看護士・鮎澤とともに、救命処置を施す玉木。その甲斐あって自衛隊員は回復するも、男性は死亡。死因究明のため、サンプルを疫研に送ることに。

しかし翌日、自衛隊員は玉木の許可なく自衛隊病院に転院。腑に落ちない玉木だが、次は鮎澤が倒れて還らぬ人に。

静かに事態は進行し、やがて横走市は未曾有のパニックに襲われる―。

リウーを待ちながら(1) (イブニングコミックス)著者:朱戸アオ出版社:講談社発行日:2017-06-23

自衛隊を擁する一都市を襲う、かつて日本人が経験したことのないアウトブレイクを描く「リウーを待ちながら」。

朱戸アオさん初のナンバリング作品ということで、じっくりとその恐怖が描かれます。

医師として奔走する玉木、疫学の専門家として玉木をフォローする原神。朱戸アオ漫画の基本形に、「リウーを待ちながら」では自衛隊というファクターをプラス


[朱戸アオ 著 講談社「リウーを待ちながら」1巻より引用]

次々と伝染病に倒れていく市民たちと、自衛隊の存在がどのようにリンクしていくか、興味深いところ。

また単巻完結作品であった「Final Phase」などでは描かれなかった、パンデミックによって起こりうる社会的な問題なども、意欲的に描かれています。

2018年3月刊行の第3巻で完結を迎えた「リウーを待ちながら」。果たして玉木たちは、ペストの蔓延した都市に何を見たのか?オススメの全3巻です。

ネメシスの杖

とある病院が、「シャーガス病」罹患患者が存在する事実を隠蔽している。

そんな告発状が厚労省に届き、シャーガス病に関する調査を開始する、同省患者安全委員会の阿里玲。

シャーガス病によって死亡したと思わしき事例に遭遇するが、そこに謎の圧力がかかる

独自に調査を続ける阿里は、寄生虫の研究科・紐倉に協力を依頼。やがて現在進行中の事態が、過去にシャーガス病を引き起こした食害事件と結びつく。

阿里と紐倉は、事件の真相に辿り着くことができるか―。

ネメシスの杖(1) (アフタヌーンコミックス)著者:朱戸アオ出版社:講談社発行日:2013-09-20

慢性期には有効な治療法が存在しない、南米の寄生虫によって引き起こされる実在の病気・シャーガス病を取り扱った作品。

アウトブレイクを描いた「Final Phase」とは違い、「事件の謎」に迫っていく本格的な医療ミステリーです。


[朱戸アオ 著 講談社「ネメシスの杖」より引用]

主人公は真面目一直線の女性と、天才かつ風変わりな男性科学者。立場の異なる二人が相棒となって補完しあう、バディもの、という側面も持つ「ネメシスの杖」。

豊富な知識に裏打ちされた、リアルな食害事件の顛末。今すぐ2時間ドラマ・映画になってもおかしくないぐらいのクオリティ。手に汗握る医療サスペンスです。

インハンド 紐倉博士とまじめな右腕

元医師・高家は、いとこの女性を原因不明の病気で亡くす。

同じ頃、内調(内閣情報調査室)の牧野と寄生虫研究者・紐倉は、致死性の高いTARSコロナウイルスを調査。

高家のいとこがTARSに罹患していた可能性を疑う彼らだが、感染元がわからない。

調査を通じて結びついた高家と紐倉。二人は協力して、感染源である「患者ゼロ」を探すことに―。

(「ディオニュソスの冠」より)

インハンド 紐倉博士とまじめな右腕 (アフタヌーンコミックス)著者:朱戸アオ出版社:講談社発行日:2016-07-22

「ネメシスの杖」の主人公二人の活躍がまた読みたい、と思っていました。

本作「インハンド」では、その内の一人・天才寄生虫研究者にして変人、右手の節電義手が特徴的な紐倉が再登場。

今作は短編形式で、収録作は「ディオニュソスの冠」「ガニュメデスの杯」「モイラの島」の三編。高倉+紐倉の野郎コンビが、医療に関連した事件の数々に臨みます


[朱戸アオ 著 講談社「インハンド 紐倉博士とまじめな右腕」より引用]

若返り、遺伝、進化、生存競争…。

医療ミステリーって素人には難解な部分も多々あるのですが、朱戸アオ作品は、その難解な部分のストーリーへの組み込み方が天才的だと思います。

いずれの話も、人類の未来にちょっと気持ちを馳せたくなるような、そんなラストが好き。

ところで今作でも、紐倉が義手になった経緯は明かされませんでした。いつかその話を読んでみたいですね。

まとめ

以上、新作「リウーを待ちながら」ほか、朱戸アオ氏作の医療ミステリー・サスペンスを描いた漫画のご紹介でした。

「リウーを待ちながら」以外の三作はどれも単巻完結なので読みやすく、おすすめ。もちろん「リウーを待ちながら」から楽しんでもOKです。

ぜひ朱戸アオさん描く、医療サスペンスの世界を楽しんでみてください。

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