朱戸アオ漫画は医療サスペンスの隠れた名作揃い

講談社のWEBコミックサイト「モアイ」をチェックしたら、朱戸アオ先生の新作「リウーを待ちながら」が連載されていることを知りました。

リウーを待ちながら/朱戸アオ
リウーを待ちながら/朱戸アオ - モーニング・アフタヌーン・イブニング合同Webコミックサイト モアイ

こちらで1/24公開の第一話が読めます。

自衛隊の駐屯するS県横走市。主人公はその中央病院に勤める女医・玉木。ある日、病院前で自衛隊員が倒れ、立て続けに男性が運び込まれる。

玉木は同僚の看護士・鮎澤とともに救命処置を施し、自衛隊員は回復するも、男性は死亡。死因救命のためサンプルを疫研に送ることに。

しかし翌日、自衛隊員は玉木の許可なく自衛隊病院に転院。腑に落ちない玉木だが、静かに事態は進行。次は鮎澤が倒れ―。

…というのが「リウーを待ちながら」第一話のあらすじ。

なんとなくパンデミックを予感させるスタート、かつ今回は自衛隊を絡ませているところに、これまでにない医療ミステリーの展開を期待せずにはいられません。

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朱戸アオ作品既刊

というわけで新連載開始を記念?して、朱戸アオ先生の既刊をご紹介。

どの作品も単巻完結の医療ミステリー。小粒ながらピリリと辛い、秀作揃いです。

Final Phase

周辺を海に囲まれた、新興の湾岸地区。

ある日、救急患者が病院に大量に運ばれるが、その半数は搬送後24時間以内に死亡。

患者たちはいずれも「溺れる…」という言葉を遺し息絶えるが、死因は不明。

同地区の総合病院に勤める女医・鈴鳴は、何らかの感染症の発生を疑う。

国立疫病研究所から派遣された羽貫とともに、調査を開始する鈴鳴。

しかしその間にも事態は進行。爆発的に増える感染者。やがて湾岸地区は封鎖され―。

漫画データ
タイトル:Final Phase (PHPコミックス)著者:朱戸アオ出版社:PHP研究所発行日:2011-12-23

原因のわからない病気によるアウトブレイクを描いた、本格医療ミステリー。「フェイズ」とはパンデミックにおける警戒区分の分類。

朱戸アオ作品の主人公は今作の鈴鳴・羽貫のように、一人は真っ直ぐ、もう一人は天才肌で変わり者という二人体制を取ることが多いようですが、その原型とも言える作品。

限定された地域、原因不明の感染症、奔走する主人公たち。

いつ自分の身に起こるやもしれない、決して他人事ではない恐ろしさ、そして緊迫感あふれる医療の最前線を知ることのできる作品です。

ネメシスの杖

とある病院が、「シャーガス病」罹患患者が存在する事実を隠蔽している。

そんな告発状が厚労省に届き、同省患者安全委員会の阿里玲は、シャーガス病に関する調査を開始。

やがてシャーガス病によって死亡したと思わしき事例に遭遇する阿里だが、そこに謎の圧力がかかる。

独自に調査を続ける阿里は、寄生虫の研究科・紐倉に協力を依頼。

やがて現在進行中の事態が、過去にシャーガス病を引き起こした食害事件と結びつく。

阿里と紐倉は、事件の真相に辿り着くことができるか―。

漫画データ
タイトル:ネメシスの杖(1) (アフタヌーンコミックス)著者:朱戸アオ出版社:講談社発行日:2013-09-20

慢性期には有効な治療法が存在しない、南米の寄生虫によって引き起こされる実在の病気・シャーガス病を取り扱った作品。

アウトブレイクを描いた「Final Phase」とは違い、「事件の謎」に迫っていく本格的な医療ミステリーです。

主人公は真面目一直線の女性と、天才かつ風変わりな男性科学者。立場の異なる二人が相棒となって補完しあう、バディものでもあります。

豊富な知識に裏打ちされたリアルな食害事件の顛末に、手に汗握ること間違いなし。

インハンド 紐倉博士とまじめな右腕

元医師・高家は、いとこの女性を原因不明の病気で亡くす。

同じ頃、内調(内閣情報調査室)の牧野と寄生虫研究者・紐倉は、致死性の高いTARSコロナウイルスを調査。

高家のいとこがTARSに罹患していた可能性を疑う彼らだが、感染元がわからない。

高家と紐倉は協力して、感染源である「患者ゼロ」を探すことに―。

(「ディオニュソスの冠」より)

漫画データ
タイトル:インハンド 紐倉博士とまじめな右腕 (アフタヌーンコミックス)著者:朱戸アオ出版社:講談社発行日:2016-07-22

「ネメシスの杖」の主人公二人の活躍がまた読みたい、と思っていました。

本作「インハンド」では、その内の一人・天才寄生虫研究者にして変人、右手の節電義手が特徴的な紐倉が再登場。

今作は短編形式で、収録作は「ディオニュソスの冠」「ガニュメデスの杯」「モイラの島」の三編。高倉+紐倉の野郎コンビが、医療に関連した事件の数々に臨みます。

若返り、遺伝、進化、生存競争…。

医療ミステリーって素人には難解な部分も多々あるのですが、朱戸アオ作品は、その難解な部分のストーリーへの組み込み方が天才的だと思います。

いずれの話も、人類の未来にちょっと気持ちを馳せたくなるような、そんなラストが好き。

ところで今作でも、紐倉が義手になった経緯は明かされませんでした。

いつかその話を読んでみたいですね。

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まとめ

以上、朱戸アオ氏の新作「リウーを待ちながら」と、医療ミステリーを描いた過去三作品のご紹介でした。

既刊三作はどれも単巻完結なので読みやすく、おすすめです。

そして「リウーを待ちながら」は女性医師が主人公、かつ自衛隊というこれまでにないテーマ。物語はまだまだ序盤ですが、今後の展開が楽しみです。

朱戸アオ先生の公式ブログはこちら。

- 朱戸アオのつめあわせ
漫画家朱戸アオの公式ブログです。