朱戸アオ漫画は医療サスペンスの隠れた名作揃い

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読み始めるとドキドキが止まらない!良質な医療ミステリー・サスペンス漫画を数多く輩出している、朱戸アオさんの漫画まとめです。

朱戸アオさんはペストによるパンデミックの恐怖を描いた長編「リウーを待ちながら」ほか、単巻完結の漫画数作を発表。そのどれもが医療・科学知識とミステリー・サスペンス感が見事に融合。読み始めると、グッとその世界に引き込まれる作品ばかりです。

というわけで以下、朱戸アオ先生の既刊漫画のご紹介。どの漫画から読み始めてもOK。

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Final Phase

Final Phase (PHPコミックス)朱戸アオ:PHP研究所

周辺を海に囲まれた、新興の湾岸地区。ある日、地区の総合病院に急性呼吸困難症の救急患者が複数運ばれ、その半数が搬送後24時間以内に死亡。その内の一人は「溺れる…」という言葉を遺す。


[朱戸アオ 著 PHP研究所「Final Phase」より引用]

女医・鈴鳴は何らかの感染症の発生を疑い、国立疫病研究所から派遣された羽貫とともに、調査を開始。しかしその間にも事態は進行し、爆発的に増える感染者。やがて湾岸地区は封鎖され―。


正体不明の感染症によるアウトブレイクを描いた、本格医療ミステリー「Final Phase」全1巻。「フェイズ」とは、パンデミックにおける警戒区分の分類です。

朱戸アオ作品の主人公は今作の鈴鳴・羽貫のように、一人は真っ直ぐな女性、もう一人は天才肌で変わり者の男性、という二人体制を取ることが多く、本作はその基本形とも言えます。

限定された地域で発生する感染症と、事態の収束に向けて命を賭けて奔走する主人公たち。決して他人事ではない恐ろしさと、緊迫感あふれる医療の最前線をリアルに描いた作品。後述の「リウーを待ちながら」の原型ともなった漫画です。

リウーを待ちながら

リウーを待ちながら(1) (イブニングコミックス)朱戸アオ:講談社

自衛隊の駐屯するS県横走市で、中央病院に勤務する女医・玉木。ある日、病院前で倒れた自衛隊員と男性、二人の急患に対応する。

看護士・鮎澤とともに、救命処置を施す玉木。その甲斐あって自衛隊員は回復するも、男性は死亡。死因究明のため、サンプルを疫研に送ることに。

しかし翌日、自衛隊員は玉木の許可なく自衛隊病院に転院。さらに鮎澤が倒れて還らぬ人に。静かに進行する事態。やがて横走市は未曾有のパニックに襲われる―。


かつて日本人が経験したことのないアウトブレイクをリアルに描く、「リウーを待ちながら」全3巻。朱戸アオさん初のナンバリング作品です。

医師として奔走する玉木、疫学の専門家として彼女をフォローする原神。朱戸アオ漫画の基本形に、「リウーを待ちながら」では自衛隊というファクターをプラス


[朱戸アオ 著 講談社「リウーを待ちながら」1巻より引用]

単巻完結作品であった「Final Phase」では描かれなかった、パンデミックによって起こりうる社会的な問題も意欲的に取り上げられ、単なるパニックものに留まらない、奥深さを見せます。

未曾有の困難は収束を見せるのか?そして玉木たちはペストの蔓延した都市に何を見るのか?緊迫のパニック・サスペンス「リウーを待ちながら」、オススメの全3巻です。

インハンド プロローグ1(旧・ネメシスの杖)

インハンド プロローグ(1) ネメシスの杖 (アフタヌーンコミックス)朱戸アオ:講談社

※本作は「ネメシスの杖」として刊行されましたが、2019年4月の「インハンド」ドラマ化に伴い、「インハンド プロローグ 1巻 ネメシスの杖」として再刊行されました。


とある病院が、「シャーガス病」患者が存在する事実を隠蔽している。

厚労省に届いた告発状を発端に調査を開始する、同省患者安全委員会の阿里玲。シャーガス病によると思わしき死亡事例に遭遇するが、そこに謎の圧力がかかる

独自に調査を続ける阿里は、寄生虫の研究科・紐倉に協力を依頼。やがて現在進行中の事態が、過去にシャーガス病を引き起こした食害事件と結びつく。

阿里と紐倉は、事件の真相に辿り着くことができるか―。


慢性期には有効な治療法が存在しない、南米の寄生虫によって引き起こされる実在の病気・シャーガス病を取り扱った作品「ネメシスの杖」全1巻。アウトブレイクを描いた「Final Phase」とは異なり、「事件の謎」に迫っていく本格的な医療ミステリーです。


[朱戸アオ 著 講談社「ネメシスの杖」より引用]

主人公は真面目一直線の女性と、天才かつ風変わりな男性科学者。立場の異なる二人が相棒となって補完しあう、バディもの、という側面も持つ「ネメシスの杖」。

豊富な知識に裏打ちされた、リアルな食害事件の顛末。今すぐ2時間ドラマ・映画になってもおかしくないぐらいのクオリティ。手に汗握る医療サスペンスです。

インハンド プロローグ 2巻(旧・インハンド 紐倉博士とまじめな右腕)

インハンド プロローグ(2) ガニュメデスの杯、他 (アフタヌーンコミックス)朱戸アオ:講談社

※本作は「インハンド 紐倉博士とまじめな右腕」として刊行されましたが、2019年4月の「インハンド」ドラマ化に伴い、「インハンド プロローグ 2巻 ガニュメデスの杯、他」として再刊行されました。


内閣情報調査室(内調)の牧野と寄生虫研究者・紐倉は、日本に侵入したと思われる致死性の高いTARSコロナウイルスを調査。従妹を原因不明の病気で亡くした元医師・高家に出会う。

彼女がTARSに罹患していた可能性を疑う紐倉たち。だが、感染元がわからない。紐倉と高家は反目しあいながらも協力。感染源である「患者ゼロ」を探すことに―。(「ディオニュソスの冠」より)


「ネメシスの杖」の主人公二人の活躍がまた読みたい、と思っていました。本作「インハンド 紐倉博士とまじめな右腕」では、その内の一人・天才寄生虫研究者にして変人、右手の節電義手が特徴的な紐倉が再登場。

今作は短編形式で、収録作は「ディオニュソスの冠」「ガニュメデスの杯」「モイラの島」の三編。高倉+紐倉の野郎コンビが、医療に関連した事件の数々に臨みます。


[朱戸アオ 著 講談社「インハンド 紐倉博士とまじめな右腕」より引用]

若返り、遺伝、進化、生存競争といった生命の本質に関わるサイエンス知識を、ふんだんにミステリーに組み込んだ本作。医療ミステリーって素人には難解な部分も多々あるのですが、朱戸アオ作品は、その難解な部分とストーリーの融合が天才的だと思います。

サスペンスの醍醐味を味わいながら、興味深い医療・科学知識にぐいぐい惹き込まれる「インハンド」。いずれの話も、人類の未来に気持ちを馳せたくなるような、そんなラストが好き。

インハンド(新シリーズ)

インハンド(1) (イブニングコミックス)朱戸アオ:講談社

紐倉と高家は、牧野よりとある写真を見せられる。そこに写っていたのは、1977年に根絶された「天然痘」と酷似した症状を見せる、とある患者の姿だった。

人為的にウィルスがばらまかれた可能性、すなわちバイオテロを疑う紐倉たちは、調査を開始。ビジネスホテルの防犯カメラで、菌をばらまく人物を確認する。

一方、ウィルスの正体が「オルフウィルス」と判明。それは紐倉に依頼されたバイオセキュリティ・レビュー(セキュリティ確認のための学術査読)のテーマだった。しかしその論文の著者である研究者は、行方不明に―。(「ペルセポネの痘」より)


前シリーズの設定そのままに開始された新「インハンド」。2019年4月現在、講談社「イブニング」誌にて絶賛連載中。その単行本第一弾となる「インハンド」1巻では、「ペルセポネの痘」(第1話~第5話)と「キマイラの血」(第6話・第7話、以下継続)を収録しています。

紐倉・高家コンビの軽妙なやり取りもすっかり板についた感じ。バディもののサスペンスとして、また前作同様、人間・自然に関わるリアルなサイエンス要素を詰め込んだミステリーとして、ますますおもしろみを増した待望の続編。

そして朱戸アオさんの既存作品から、「あの」人物が登場。朱戸アオ世界の広がりを感じる、ファンならば震えるような展開を見せてくれます。

第一話冒頭では右腕を失った原因を想起させる、紐倉の「夢」が描かれます。「君の幸運の右腕をもらっていくよ」という言葉を発する、謎の人物の正体は?旧インハンドでは描かれなかった紐倉の秘密がいよいよ明かされる…!という期待が高まります。

まとめ

以上、新作「リウーを待ちながら」ほか、朱戸アオ氏作の医療ミステリー・サスペンスを描いた漫画のご紹介でした。

「リウーを待ちながら」以外の三作はどれも単巻完結なので読みやすく、おすすめ。もちろん「リウーを待ちながら」から楽しんでもOKです。

ぜひ朱戸アオさん描く、医療サスペンスの世界を楽しんでみてください。

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