ゆるふわなタッチからあふれ出す、不思議な清涼感が魅力的!
漫画家・衿沢世衣子さんのオススメ漫画まとめです。
衿沢世衣子漫画の作風とおすすめ単行本
衿沢世衣子さんは、2000年に短編『カナの夏』でデビューした、ポップでライトなイラスト調のタッチが特徴の漫画家さん。
ティーンエイジャー主体の明るい漫画を基本に、近年はややブラックなストーリーの作品も発表。
また漫画以外にも、小説・実用書のカバーイラストなどを数多く手がけています。
そんな衿沢世衣子さんの漫画の魅力は、なんと言ってもゆるふわなタッチと不思議な清涼感。
サラッと流れるような物語を読み終わると、心の中をさわやかな風がフワッと通り過ぎるような感覚が残ります。
というわけで以下、衿沢世衣子さんのオススメ漫画をご紹介。
シンプルノットローファー
とある女子校の生徒たち。その日常に起こるささいな出来事を綴る連作短編集『シンプルノットローファー』全1巻完結。
私はこの作品で衿沢世衣子さんの漫画にハマりました。
彼女たちの「なんてことのない日々」がサラリと描かれるのですが、そのサラリ加減が絶妙。「いい感じに力の抜けたゆるさ」が妙に心地よい。
女子高生が主体ながら恋愛ネタも無く、しかし不思議な吸引力を感じる漫画。どこにでもいそうな、大人と子供の中間にいる彼女らの日常を楽しんでみてください。
1年1組 うちのクラスの女子がヤバい
講談社『うちのクラスの女子がヤバい』全3巻を改題、リイド社から再刊行された『1年1組 うちのクラスの女子がヤバい』全1巻。
「思春期性女子突発型多様可塑的無用念力」略して「無用力」を持つ女子たちが集まった1年1組の、ちょっと変わった日常が描かれます。
心拍数が上がると人の衣服や皮膚が透けて見えたり、食べると記憶がなくなってしまうおにぎりを握れたり、「カワイイ」を感じると気ぐるみに変身してしまったり。
とにかくワケのわからない無用力が引き起こすドタバタに、奇妙なおかしみが。
他の衿沢世衣子作品に較べ、男女の掛け合いが多く描かれているのも新鮮。ラストはちょっと感動的な…?
巻中のオマケ漫画には『シンプルノットローファー』のクラスもゲスト出演。
2年1組うちのクラスの女子がヤバい
上記紹介の『うちのクラスの女子がヤバい』が、リイド社のWebメディア「トーチ」に電撃移籍!
『2年1組うちのクラスの女子がヤバい』として復活連載が始まりました。
思春期特有の特殊能力「無用力」の”わけのわからなさ”はそのままに、より洗練された絵柄で描かれる2年1組の物語。
新たなキャラクターも加え、ちょっと不思議で笑いと感動あふれる青春が展開されていきます。
ちづかマップ
主人公”鹿子木ちづか”が地図を片手に、祖父・幼馴染らと東京や地方の名所をゆるりと訪ね歩く『ちづかマップ』全3巻。
衿沢世衣子作品に共通のゆるふわ感に加え、丹念に描かれる土地の特徴や文化が魅力の「街歩き漫画」です。
マニアックな知識や薀蓄がちづかたちの街歩きの中に織り込まれ、それらがナチュラルに伝わってくる描き方がウマイ!
読後はきっと、町へおでかけしたくなってくるはず。
なお『ちづかマップ』全3巻は小学館よりの刊行ですが、その前身として講談社版『ちづかマップ』全1巻が存在しています。
小学館版から読み始めても問題ありませんが、こちらを先に読んでおくとより深く、ちづか達の冒険を楽しめるでしょう。
ベランダは難攻不落のラ・フランス
様々な雑誌・媒体で発表された衿沢世衣子さんの作品を一冊にまとめた、ファン待望の短編集『ベランダは難攻不落のラ・フランス』。
一風変わったタイトルは、収録の短編『ベランダ』『難攻不落商店街』『ラ・フランス』から。
男子が年上女子、そして宇宙に出会う『リトロリフレクター』。姉妹のささやかな家庭内交流+冒険を描く『ラ・フランス』。ベランダから始まったひと夏の交流「ベランダ」。
などなど、衿沢世衣子漫画らしいフワッとした清涼感が詰まりまくっています。
制服ぬすまれた
女子高生の制服盗難事件の真相に迫る女性警官が、事件をかつての自分に重ねる表題作『制服ぬすまれた』。
ほか、講談社モーニング誌と小学館flowers系列誌に掲載の短編5つを収録した読み切り集『制服ぬすまれた』。
ダークでスリリングなストーリーが多めなのですが、登場人物がほぼ裏社会の男性という『カラスが鳴くから』は、衿沢世衣子作品としては異色中の異色。
いつものタッチとは大きく異る作風に、作者の新境地と可能性を感じた短編集です。
新月を左に旋回
謎の留学をした姉と入れ替わるように現れた、「ブッポーソー!」が口癖の少女”このは”。
ちょっとフクロウを彷彿とさせる彼女は、ユウコの生活に少しの「不思議」をプラスして…?
中学生・ユウコと不思議な少女・このは(このはずく様)の日常を描く『新月を左に旋回』全1巻。
普通の少年少女の元に不思議な生き物が突然あらわれて…という展開が、どことなく藤子不二雄漫画を彷彿させる作品。
基本的にはゆるゆるな出来事が描かれるのですが、衿沢世衣子作品としてはめずらしいちょっと不気味な展開も?気軽に楽しめる日常ダーク・ファンタジー。
ウイちゃんがみえるもの
『ウイちゃんがみえるもの』全1巻。身の回りにある何気ないものが不思議な生き物に見える、ちょっと変わった女の子・ウイちゃん。
彼女が繰り広げるユーモアあふれる日常ファンタジーが、フルカラーで描かれます。
全体を通しての大きなストーリーとか、解決しないといけないこととか、そんなものは特に無い。だけど、読んでいるうちにウイちゃんのいる世界に入り込みたくなってくる。
そんな衿沢世衣子漫画ならではの魅力がたっぷり。フルカラーならではのやさしい色使いにほっこりします。
おかえりピアニカ
全1巻完結の短編集『おかえりピアニカ』(電子書籍サイトによっては、分冊2巻になっている場合あり)。おそらく衿沢世衣子さんの初単行本。
ブルマ廃止を狙う女子高生と、謎の妨害工作をコミカルに描いた『体は育つ』。思春期に空を飛ぶ能力を失う少年少女を描いた『鳥瞰少女』。
など、衿沢世衣子漫画のルーツとも言える短編を収録。
よしもとよしともさん原作の『ファミリー・アフェア』コミカライズで、衿沢作品としては珍しい性描写が少しだけ描かれているのも興味深いところ。
向こう町ガール八景
『おかえりピアニカ』に続く短編集第二弾『向こう町ガール八景』。
少女たちの繊細な感性を、ゆるりとコミカルに描く全8編。こちらは紙書籍のみの刊行。
何か考えているようで実は何も考えていないようでやっぱり…?という感じの思春期。
誰しもが経験する時期の微細な心情が、衿沢世衣子さんらしい笑いをまじえて描かれます。デビュー作『カナの夏』も収録。
衿沢世衣子さんのオススメ漫画・まとめ
以上、衿沢世衣子さんのオススメ漫画まとめでした。
何も考えずにページをパラパラっとめくると、不思議な心地よさを感じる作風が魅力の漫画家さん。
短編集も多いので、気になった単行本を気軽にチェックしてみてください。“ゆるふわ~”で”さわやか~”な空気に包み込まれるでしょう。
コメント