学園もの漫画漫画感想・レビュー

漫画『丁寧に恋して』感想―台湾少女に恋した男子。その行動が波紋を―?

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サワミソノさんの漫画「丁寧に恋して」。これはすごく紹介の仕方を迷う漫画だ…!

「恋して」とあるように、恋愛ドラマであることに間違いはないのですが。

単行本はHARTA COMIXより1巻が刊行中。「丁寧に恋して」の「丁寧」は形容動詞ではなく、女の子の名前。読みは「ていねい」でOK。

ちなみに「丁寧」の本来の読みは「デインニン」。同級生たちからはあだ名的に「ていねい」と呼ばれています。

「丁寧に恋して」レビュー

修学旅行に行けない台湾女子

台湾人の同級生・丁寧(ていねい)が気になる男子・永松。丁寧が台湾への修学旅行に行けないことを知った彼は、思い出づくりのために、自腹で丁寧の修学旅行費を負担することを決意する。

担任・豊田に支援の気持ちを伝え、「誰が渡したのか秘密にする」という約束をして費用を預ける永松。しかし3万円の不足があり、葛藤の末、豊田はその金額を補うことに。

後日、学校の都合で修学旅行に行けるようになった、と丁寧に告げる豊田。それを喜ぶ丁寧。

しかし本来永松が感謝されるべきことを、自分だけが感謝される展開に、生真面目にも釈然としない豊田。とうとう丁寧に、「ある男子生徒」が費用を肩代わりしたことを口にしてしまう―。

というのが「丁寧に恋して」第1話のおおまかなあらすじです。

丁寧に恋して 1巻 (HARTA COMIX)サワ ミソノ:KADOKAWA

「秘密」を介して繋がる三人

「丁寧に恋して」の主な登場人物は、丁寧・永松・豊田の三人。

永松と豊田、豊田と丁寧、そして丁寧と永松。修学旅行費という「秘密」を介して繋がった、三人の微妙な人間関係がじっくりと描かれる恋愛漫画です。

そう、これは「恋愛漫画」なのですが、その内実はなかなか複雑。物語の本質を理解するには、各キャラクターの立場を知る必要があります。以下、主要登場人物について少しご紹介。

永松くん

丁寧と修学旅行に行きたいあまり、彼女の修学旅行費を肩代わりしてしまった男子。まじめな好青年ではあるのですが、やや暴走気味な一面も。

見方によってはちょっと引いてしまいそうなその行動・性格。しかし後半では苦労人であることが判明し、好感度アップ。

丁寧

可愛らしく、だけどちょっと気を張った風で、学業も卒なくこなす台湾少女。決して貧乏というわけではないが、若干問題のある家庭事情により家業やアルバイトをしています。

本心では修学旅行に行きたいと思っている彼女。ですが修学旅行費を肩代わりした「誰か」の存在を知り、「施し」は受けないという気の強さも見せます(そりゃそうだ)。

今のところ物語で一番まっとうな人物。真っ直ぐな強い目が印象的。

豊田先生

見た目50歳前後、独身?問題の教師

…といっても悪い先生ではなく、むしろ良い先生なんですが。永松が用意したお金の足りない分を、モヤッとしつつも補填したり、永松との秘密を頑なに守ったり。律儀な考え方をする人物

ですが律儀すぎるがゆえの彼の行動が、図らずも事態をややこしくすることに。そして彼自身はそれを知る由もなく。丁寧と永松の間で不思議な板挟みに陥っている、物語のキーパーソン。人間臭くて面白い存在です。

物語に漂う緊張感

そんな各キャラクターが織りなす「丁寧に恋して」。1巻を読んだ限りでは、実に微妙なバランスで成り立っている話だなぁ、という印象。

永松・丁寧・豊田。修学旅行費を巡って、ゆるやかに、しかし一歩間違えれば致命的な亀裂が発生しそうな人間関係。決して「いい話」で済むものではなく、独特の緊張感が漂っています。

  • 丁寧に思いを募らせるあまり、金銭的な援助を秘密裏に行ってしまう永松。
  • 永松の思いを汲みつつも、自身の感じるモヤモヤ感から事態を複雑にしてしまう豊田。
  • 修学旅行に行きたいと望みつつも、いわれのない手助けに不思議・不信感を感じる丁寧。

三者三様の立ち位置により、複雑な三角関係が形成されていきます。

特に永松くんの行動は思春期特有の傲慢さを伴うもので、見ていて実に危なっかしい(笑)。うまく転べばそれで良し、しかし下手を打てば…?

そして1巻の終盤では、それまでのバランスを大きく崩す出来事が起こります。恋の結末は果たして…?不思議な人間模様の行方が気になるところ。

不思議なドキドキの恋愛漫画

というわけで漫画「丁寧に恋して」1巻のレビューでした。実に不思議な感覚を味あわせてくれる恋愛漫画。読んでいて色んな意味でドキドキします。ハルタレーベルらしい漫画ですね。

そしてこの第1巻は270ページの大ボリュームで読み応えあり。じっくりと描かれるその世界観に浸ってください。

【追記】

「丁寧に恋して」は、2018年8月現在、作者様の都合により連載終了となってしまったようです。「作者都合」という理由を考えると、再開は厳しそうです。残念。

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