「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン」全7巻―漫画版「小説版逆シャア」

タイトルで『漫画版「小説版逆シャア」』とかいう、訳のわからない書き方をしてしまいましたが、そういうことです(どういうことだ)。

コミック版「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン」。

原作は、アニメ・ガンダムシリーズの監督・富野由悠季さんによる小説。

コミック版は、さびしうろあきさん・柳瀬敬之さんの共著。全7巻で完結済みです。

なお本記事は漫画版「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン」のレビューですが、映画版「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」等を見ている、という前提で進めます。映画版を未見の方はご注意を。

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「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン」レビュー

概要

オリジナルの小説版「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン」は、映画用のシナリオ第1稿を元にしたモチーフ小説として、映画公開前に刊行されたもの。

機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン (角川スニーカー文庫)著者:富野 由悠季出版社:KADOKAWA / 角川書店発行日:2014-01-01

そのため、映画本編とは下記のような設定の違いがあります。

オリジナルベルトーチカ・チルドレン
ギュネイ・ガスグラーヴ・ガス
ヤクト・ドーガサイコ・ドーガ
ナナイ・ミゲルメスタ・メスア
サザビーナイチンゲール
νガンダムHi-νガンダム(劇中表記はνガンダム)
チェーン・アギベルトーチカ・イルマ

その多くは名前やデザインの違いですが、大きく異なるのはアムロのパートナーがチェーンではなくベルトーチカであること。

「機動戦士Zガンダム」で出会ったアムロとベルトーチカの関係を、そのまま引き継ぐ形になっています。

私も数十年前に小説版を読んだのですが、さすがに内容は忘れてしまった(笑)。なので本記事では、小説版との比較は割愛。映画は何度も見ています。

映画版さながら

そんな感じで読み始めた、逆シャア・ベルトーチカ・チルドレン。

さびしうろあきさん・柳瀬敬之さんの作画、最初はやや淡白に感じましたが、読み進めるとこれがなかなか落ち着いた感じで読みやすい。

設定の違いはあれど、基本的には映画版「逆シャア」のイメージを忠実になぞっているというイメージ。

三枝成彰さん作曲の「ドコドコドコ…」という、迫力あるBGMが聞こえてくるかのよう。映画と較べても違和感がありません。

機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン
[さびしうろあき/柳瀬敬之 著 KADOKAWA/角川書店
「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン」1巻より引用]

もちろん本作は、あくまでも小説版のコミカライズなのですが、ベルトーチカやサイコ・ドーガといったオリジナルと異なる要素を、映画の絵とうまく組み合わせているという印象。

展開も突飛な感じがなく、むしろ2時間の映画でオミットされた部分の補足があったりして、「ああ、あれはそういうことだったのか」と腑に落ちることも。映画版の補完もできます。

迫力のMS戦

そしてガンダム漫画の肝である、モビル・スーツ戦も迫力充分。

特に大量に出てくる、ジェガンやギラ・ドーガの戦闘が小気味良い。編隊を組んでMSが宇宙空間を飛行する様子は、ガンダムならではの魅力。

後半、νガンダムが本格的に活躍する段では、映画にはないベルトーチカ・チルドレン独自の展開も。

ラー・カイラムと連携し、アクシズの落下を阻止するために、オリジナルデザインのハイパー・ランチャーを用いるνガンダム。

機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン
[さびしうろあき/柳瀬敬之 著 KADOKAWA/角川書店
「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン」6巻より引用]

この頃になると、戦闘シーンの作画もノッている、という感じ。

特にHi-νガンダムやナイチンゲールの戦闘。かつて設定やイラストでしか見られなかったデザインが、漫画の中で躍動している。グッと来るものがあります。

(しかしナイチンゲールは手足の短いデザインだから、カッコよく見せるのに苦労があったのでは、と勝手に推察。)

注目の艦隊戦

本作でもうひとつ注目したいのは、艦隊戦が予想以上の迫力を持って描かれていること。

戦艦が活躍するのは、機動戦士ガンダムならではの魅力だと思っているのですが、艦隊の動きが重要な意味を持つ「逆シャア」において、手抜きなしの艦隊戦描写は不可欠。

「なぜ、艦隊はそのような動きを取るのか?」という大局的な動きを自然に説明しつつ、説得力を持って展開される艦隊戦。

またロンド・ベルの旗艦ラー・カイラム、ネオ・ジオンの旗艦レウルーラなど、巨大感を持って描かれる戦艦。

白兵的な動きをするMSとは、対極的な迫力があります。

機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン
[さびしうろあき/柳瀬敬之 著 KADOKAWA/角川書店
「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン」2巻より引用]

ベースが映画「逆襲のシャア」であるから、というのはもちろんあるのですが、他のガンダム漫画ではなかなか見られない、戦艦VS戦艦の戦いが本作の魅力の1つ。

また戦艦やアクシズなど、巨大感のある描写が非常に上手い。ベルトーチカ・チルドレンで注目したいポイントです。

盛り上がる終盤の展開

そして物語は6巻以降、いよいよ盛り上がる展開。シャアとアムロの直接対決へ。

一方、クェス、ハサウェイ、さらにベルトーチカたちも動きだします。

地球にアクシズを落とさんとするシャア。そしてそれを防ごうとするアムロ。

二人の戦いの決着は?そして映画版とは異なるヒロイン、ベルトーチカの運命やいかに!

最終7巻では、いよいよ白熱するHi-νガンダムVSナイチンゲールのMS戦。映画におけるνガンダムVSサザビーとはまた一味違う、緊迫の戦いが展開されます。

機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン
[さびしうろあき/柳瀬敬之 著 KADOKAWA/角川書店
「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン」6巻より引用]

そして忘れてならないのは、本作のタイトルが「ベルトーチカ・チルドレン」であるtこと。

ベルトーチカはお腹にアムロの子を宿していますが、それがガンダムという物語の中で、どのような役割を果たすのか。

映画とは違う、「ベルトーチカ・チルドレン」ならではのクライマックスに注目です。

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まとめ

以上、漫画版「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン」のレビューでした。

全7巻という程よい巻数で、「逆シャア」の世界を描いたコミック版。テンポよく、迫力もあり、読み応えのあるガンダム漫画です。

なお映画では時間的な制約もあり、初見では若干、わかりにくい部分(艦隊の動きとか)もあります。

一方本作では、独自解釈も含めてその辺りの理解が進むつくりになっています。

機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン
[さびしうろあき/柳瀬敬之 著 KADOKAWA/角川書店
「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン」4巻より引用]

こんな感じで巻末にかわいいオマケ漫画が付くこともw。

映画を見たあとにベルトーチカ・チルドレンを読むと、さらに逆シャアの世界への理解が進むことでしょう。

機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン(1) (角川コミックス・エース)著者:さびし うろあき出版社:KADOKAWA / 角川書店発行日:2014-11-26

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