漫画『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』―新たな動乱描く『逆襲のシャア』続編

原作小説の公開から三十数年(!)、遂に映像化された『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』。その公式コミカライズが、月刊ガンダムエース連載の漫画版『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』です。

作者は”さびしうろあき”さんで、2022年3月現在2巻まで刊行中。『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン』の続編的な位置付けの作品となっています。

漫画『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』感想・レビュー

あらすじ・概要

オリジナル『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』は、ガンダム・シリーズの初代監督である富野由悠季さんによる小説作品。映画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』公開(1988年)後、1989~1990年にかけて上・中・下巻が刊行されました。

その後、主役MS「Ξ(クスィー)ガンダム」やライバルMS「ペーネロペー」の立体化などを経て、2021年についに!新作劇場用アニメとして映像化。本作はそれと連動したコミカライズとなっています。

物語の舞台は、「シャアの反乱」とも呼ばれる第二次ネオ・ジオン抗争より12年後の、宇宙世紀105(U.C.0105)年。反地球連邦政府運動「マフティー」のリーダー「マフティー・ナビーユ・エリン」を名乗るハサウェイ・ノアが主人公。

地球連邦軍人ブライト・ノアの息子でありながら、連邦に反旗を翻したハサウェイ。ミノフスキー・フライト・ユニットを装備しMS形態での単独飛行を可能にした「Ξ(クスィー)ガンダム」を駆り、腐敗した地球連邦政府に戦いを挑む、というのがストーリーの骨子です。

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『ベルトーチカ・チルドレン』を引き継ぐ物語

漫画『閃光のハサウェイ』冒頭では、「シャアの反乱」時に成り行きからジェガンに搭乗、α・アジールに乗る想い人・クェスを撃破してしまった時の「悪夢」を見るハサウェイが描かれます。

その回想に登場するのは、Hi-νガンダムとナイチンゲール。そのことから本作が劇場版『閃光のハサウェイ』のコミカライズではなく、『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン』を受け継ぐ物語であることがわかります。

新作アニメや近年のガンダムの設定(アンクシャが出てきたり)も反映されているので、正確には小説と映画のハイブリッド的だとは思いますが、漫画『ベルトーチカ・チルドレン』の作画を担当した作者・さびしうろあきさんの絵柄が雰囲気にとてもマッチ!スムーズにその世界観に入っていける作りとなっています。

メッサー VS グスタフ・カール!

コミカライズ『閃光のハサウェイ』第一話で描かれるのは、連邦高官を汎用MS・メッサーで襲撃する、ハサウェイ率いるマフティー(この時点でクスィーガンダムはハサウェイの手元に無い)。

このあたりの描写はおそらく本作オリジナル(またはアレンジ)だと思われるのですが、「マフティーのメッサー VS 連邦のグスタフ・カール」という対決が遂にビジュアルとして見れた!というのはなかなかの感動。

文章で綴られた戦闘シーンを視覚的に見れる、というのはコミカライズの何よりの醍醐味ですが、『ベルトーチカ・チルドレン』で培われた”さびしうろあき”さんの漫画力により、迫力の戦闘描写が堪能できます。

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ハードな世界観を持つ「大人のガンダム」

しかしこの『閃光のハサウェイ』、実はなかなかハードな世界観を持つ作品

マフティーは地球に居住し続ける特権階級と、不法居住者に対するマン・ハントに対する不満がその活動の背景にある、という宇宙世紀時代の社会問題によりクローズアップした設定。

特に2巻で描かれるマン・ハントの様子は、他のガンダム漫画では見られない「宇宙世紀の影」を感じるもの。大きな戦争を描く他のガンダム・シリーズとは、やや風味が異なります。

またヒロインの美少女ギギ・アンダルシアも、「連邦高官の愛人」というTVシリーズではありえない背景を持つキャラクター。ハサウェイの敵、キンバレー部隊の司令官ケネス・スレッグも、洒脱な風貌や言動でアダルトな空気を漂わせます。

原作の持つ設定や雰囲気・ドラマ感を、巧みに表現した漫画『閃光のハサウェイ』。他のガンダム漫画とはひと味違う、「大人のガンダム」感を体験させてくれる作品です。

漫画『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』まとめ

以上、漫画版『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』感想・レビューでした。

小説版から映像版へと、長い時間をかけて大きく展開を遂げた本作ですが、それに十分肩を並べる出来であり、またアダルトな雰囲気も独特の風味で良い感じです。

ところで肝心のクスィーガンダムですが、2巻でもその全貌が明かされない!(ペーネロペーは2巻より本格登場)予想以上に物語がじっくり描かれている、という印象ですが、これはこれで面白い。ぜひラストまできっちり描ききってほしいところ。

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