路地裏の料理店主。彼が作る料理はどれもが絶品!だが語る言葉はポンコツで…?
足立和平さんの漫画『飯を喰らひて華と告ぐ』。店を訪れる人々に、上手い飯と見当違いのアドバイスを提供する、すっとぼけた店主を描くグルメ&コメディです。
連載は白泉社の漫画雑誌「ヤングアニマル」。コミックスは2023年3月現在、2巻まで刊行中。
『飯を喰らひて華と告ぐ』感想・レビュー
あらすじ
東京のど真ん中、から少し入った路地裏にある、小さな料理店「一香軒」。
その店を一人営む「店主」(氏名不詳)は、注文があれば「何でも」作る、凄腕の料理人。
リクエストに応じて手際よく作られた料理には誰もがうなり、その味に引き込まれていく。
が、人を見る目はからっきしの店主。悩みを抱えている感じのお客さんにアドバイスをするのだが、それはまったく見当外れの内容で…?
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超絶な調理描写がスゴイ!
この『飯を喰らひて華と告ぐ』、読んでまず度肝を抜かれるのが、超絶な調理の描写。
オーダーを受け「はいよ」と返事をしてからは、一切無言の店主。
彼が調理をする過程が、各話8~10ページを使って描かれるのですが、その細か過ぎ&リアル過ぎな描写が変態的にスゴイ!
食材に包丁を入れ、煮て、焼いて、盛り付ける様子が、超絶な描画力で表現されるのですが、「茹でられてる麺を鍋底から見るアングル」とか、どこに需要あんねん!(笑)
が、その調理過程を見ているだけで、食欲を刺激されてくるから不思議。
そして出来上がった料理が、これまたうまそうなもので…!
一風変わった中華料理屋の店主のクセがすごすぎた話(5/8) pic.twitter.com/QfBYY5EDL6
— 足立和平 『飯華』1巻発売 & 恋愛トキワ荘出演中 (@wahei_fee) August 29, 2022
チャーハンやラーメンなどの中華料理から、刺し身・煮物などベーシックな和食まで、庶民的な料理の数々。そしてそれを食べる人々の満足そうな顔。
あ、今日これ絶対食べる…!と思わずにはいられません。
見当外れのアドバイスがヒドイ!(笑)
が、自分の料理に満足するお客さんを見ながら、一人喋り出す店主。
その内容がヒドイ!(笑)
悩める経理マンに「営業の心得」を説いたり。
普通の主婦を「仕事に失敗した万引きGメン」と思い込んで慰めたり。
とにかく思い込み・勘違いが激しい店主の、明後日を向いたアドバイス。
妙な上から目線で真面目に話し続ける様子と、完成度の高い料理を作る「凄腕の料理人」であることから生まれるギャップに、何とも言えないおかしみが。
謎の格言が面白い!
そしてそのアドバイスの中で店主の口から発せられる、「聞いたことの無い格言」が奇妙過ぎて面白い!
「美(うま)きものにて事を成す」とか「天下人、早飯すらも口直し」とか、なんかそれっぽいことを言うのですが、そんなん知らん!(笑)
そもそもお客さんの素性を勘違いした上に、訳の分からない格言を使って喋るので、お客さんはポカーン。
ですが料理の濃厚さと相反するような店主の薄っぺらさ、斜め上の感性に、いろんなことがどうでも良くなってきて、気が楽になってくる…!
まあ実際にこんな人がいたら、ちょっと鬱陶しいかもしれませんが(笑)。
うまい飯と明後日を向いた格言が、明日への活力を与えてくれる…ような気のする漫画です。
まとめ:奇妙に笑えるグルメ・コメディ
以上、足立和平さんの漫画『飯を喰らひて華と告ぐ』の感想・レビューでした。
リアル過ぎる描写で食欲をそそる料理パートと、店主のひとり語りパートが、奇妙に笑えるグルメ・コメディ。
意味不明な格言も、各話の最後に説明があるから安心(?)です。
っていうかそもそも、「飯を喰らひて華と告ぐ」ってなんやねん!
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