全1巻で完結する長編ストーリー漫画・おすすめ40選

これまでに読んだ漫画の中からチョイスした、全1巻で完結するおもしろいストーリー漫画40選です。

基本的に、1巻で完結している長編漫画(一部中編もあり)のご紹介です。

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我らコンタクティ

我らコンタクティ (アフタヌーンコミックス)森田るい:講談社

森田るいさんの「我らコンタクティ」。小学校以来の再会を果たした同級生の男女が、宇宙人へのメッセージとして「あるもの」を搭載したロケットを打ち上げようとする物語。

約250ページと、全1巻完結漫画としては多めのボリュームながら、テンポよく展開されるストーリー。個人によるロケット開発ならではの、フリーダムな楽しさが伝わってくる漫画です。


[森田るい 著 講談社「我らコンタクティ」より引用]

ちょっとゲスいヒロイン・カナエと、ロケットを独力で開発する朴訥とした青年・かずき。主人公2人に加え、少し訳ありな周囲のキャラクターたちも魅力的。

独特のユーモアを絡めながら、カナエたちがロケットの打ち上げに向けて「駆け抜けていく」様子が心地よい。序盤のゆるさとは一転、読み終える頃には彼女らと一体化するような気持ちになる、街のロケット開発物語です。

二本松兄妹と木造渓谷の冒険

二本松兄妹と木造渓谷の冒険 (ヤングキングコミックス)水上悟志:少年画報社

水上悟志さんの「二本松兄妹と木造渓谷の冒険」。拝み屋の兄妹と、そのライバルである退魔師。彼らが幸運の座敷童子と、彼女の故郷である異界・木造渓谷をめぐってドタバタを繰り広げる、オカルト・コメディ漫画。

ちょっとクセがあるけど個性的な変身ヒーロー・二本松兄妹と、退魔師率いるすずめ軍団の戦い。そして異次元の不思議空間・木造渓谷でテンポよく展開される、迫力のアクションがおもしろい。

水上悟志「二本松兄妹と木造渓谷の冒険」
[水上悟志 著 少年画報社「二本松兄妹と木造渓谷の冒険」より引用]

「惑星のさみだれ」や「スピリットサークル」などで培われた作者・水上悟志さんの熟練の手腕が、ギュッと凝縮された世界観。全1巻できっちりと完結させ、そしてまだまだその世界を広げることができそうな物語の作り方。続編を読んでみたい!と思わずにはいられません。終盤の盛り上がりは燃える!

邪眼は月輪に飛ぶ

邪眼は月輪に飛ぶ (ビッグコミックス)藤田和日郎:小学館

藤田和日郎さんの「邪眼は月輪に飛ぶ」。眼が合ったものを即死させる巨大フクロウ・ミネルヴァと、それを追う猟師・祈祷師・米軍人たちの戦いを描く、オカルト・アクション漫画。

見られたら死ぬ」という緊張感の下で展開される、人間とモンスターの行き詰まる戦い。ノンストップで描かれる、そのスピード感がスゴイ。読み終わった後、フーッ、と思わず深く息を吐いてしまうような没入感。

藤田和日郎「邪眼は月輪に飛ぶ」
[藤田和日郎 著 小学館「邪眼は月輪に飛ぶ」より引用]

全1巻ながら、主要登場人物すべてに魅力的なキャラクター性を持たせ、さらに敵役であるミネルヴァにさえストーリーを作る描き方もお見事。藤田和日郎漫画のおもしろみが詰まった作品です。

インハンド プロローグ 1巻 ネメシスの杖

インハンド プロローグ(1) ネメシスの杖 (アフタヌーンコミックス)朱戸アオ:講談社

※本作はもともと全1巻完結漫画「ネメシスの杖」として刊行されていましたが、TVドラマ化に伴い「インハンド プロローグ 1巻 ネメシスの杖」として再刊行されました。本記事ではオリジナルをもとにレビューしています。


「リウーを待ちながら」の作者、朱戸アオさんの「ネメシスの杖」。何者かによって引き起こされた、致死性の病気を引き起こす寄生虫への感染事件。厚労省の女性役人と変わり者の医学博士が事件の謎に迫る、医療サスペンス漫画。

朱戸アオ「ネメシスの杖」
[朱戸アオ 著 講談社「ネメシスの杖」より引用]

薬害事件やお役所の体質など、社会的な問題も提起しながら展開される、緊迫感あふれるストーリー。すぐにでも2時間ドラマの原作にできるクオリティ

真っ直ぐな行動力を持つ主人公・阿里玲と、彼女の相棒となる義手の科学者・紐倉博士。二人のバディとしての活躍も魅力的。物語全体に漂う張り詰めた空気がたまらない、医療サスペンス・ミステリーの隠れた名作です。

インハンド プロローグ 2巻 ガニュメデスの杯、他

インハンド プロローグ(2) ガニュメデスの杯、他 (アフタヌーンコミックス)朱戸アオ:講談社

※本作も「ネメシスの杖」と同じく元は「インハンド 紐倉博士とまじめな右腕」として刊行されていましたが、「インハンド プロローグ 2巻 ガニュメデスの杯、他」として再刊行されました。本記事ではオリジナルをもとにレビューしています。


同じく朱戸アオさんの「インハンド 紐倉博士とまじめな右腕」。「ネメシスの杖」に登場した紐倉博士が、新たな相棒と3つの事件に挑む医療サスペンス漫画(中編3つなので全1巻漫画扱いで)。

若返り、遺伝、進化、生存競争など、人間と医学・医療の興味深い問題をミステリー仕立てにした作品群。どれを読んでもドキドキのサスペンス感、そして生命への畏敬を感じる、中編とは思えない読み応えがあります。

朱戸アオ「インハンド 紐倉博士とまじめな右腕」
[朱戸アオ 著 講談社「インハンド 紐倉博士とまじめな右腕」より引用]

「ネメシスの杖」ではクールさが際立った紐倉博士。本作ではツッコミ役となる相棒・高家を得てコミカルさ、そして人間味が醸し出しされ、バディものとしてのおもしろさも。

そして各話の読了後に、生命・科学への想いを掻き立てられる絶妙のストーリーテリング。医療ミステリーの名手・朱戸アオさんならではの、クオリティの高いサスペンス漫画です。

Silent Blue

Silent Blue (FEEL COMICS)安堂維子里:祥伝社

安堂維子里さんの「Silent Blue」。隕石が落下してできた湖。そこに眠る「街」と自身の失われた記憶を求めて、湖の底にダイブする女性を描くソフトなSF漫画

純粋な気持ちで、湖へのダイブを繰り返す主人公・あおこ。彼女が潜水する際のファンタジックな表現が素晴らしい。思わずハッとしてしまう美しさ・目を引きつけられる魅力があります。

安堂維子里「Silent Blue」
[安堂維子里 著 祥伝社「Silent Blue」より引用]

作者の安堂維子里さんは「水」をテーマにした漫画を多数描かれていますが、その魅力は本作でもいかんなく発揮。全編に「みずみずしさ」が漂い、読後に爽やかな気持ちになる作品。モノクロ漫画なのに、不思議と蒼い景色が目に浮かぶような

外天楼

外天楼 (講談社コミックス)石黒正数:講談社

石黒正数さんの「外天楼」。外天楼(げてんろう)という一風変わった名前を持つ集合住宅。そこに集う人々をコミカルに描くオムニバス。

…かと思いきや、徐々に物語は一本の線でつながり、終盤で予想外の展開を見せるサスペンス風味の漫画へと変貌。

石黒正数「外天楼」
[石黒正数 著 講談社「外天楼」より引用]

石黒正数作品らしい笑いを楽しんでいると、知らぬ間に真顔になっていく。「あれ、俺、今なんの漫画読んでるんだ?」と思わずにはいられないトリッキーな構成。読み終わったあと、また最初からページをめくりだしてしまいます。

志乃ちゃんは自分の名前が言えない

志乃ちゃんは自分の名前が言えない押見 修造:太田出版

押見修造さんの「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」。吃音症の少女・志乃とその友人たちの、不器用な友情を描く青春ストーリー

押見修造「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」
[押見修造 著 太田出版「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」より引用]

自分の名前がスムーズに発音できずに、引っ込み思案となる志乃。しかし彼女の苦しみだけではなく、彼女もまた友人を傷つけてしまう様が描かれる点が秀逸。志乃を悲劇のヒロインとせず、あくまでも等身大の高校生として描いているところが、物語に深みを生み出しています。

志乃や友人たち、各キャラクターの表情も素晴らしい。セリフを多用せず、雰囲気で各人物の胸の内を描き出す、押見修造氏の手腕がお見事。胸を打つ最終話は必見。

ヘウレーカ

ヘウレーカ (ジェッツコミックス)岩明均:白泉社

岩明均さんの「ヘウレーカ」。紀元前200余年のシチリアを舞台に、アルキメデスの弟子となった青年・ダミッポスの生きざまが描かれます。

アルキメデスの発明した奇想天外な兵器が、ローマに攻め入った敵を破壊的に駆逐していく様。それに負けじと、知恵を働かせるダミッポスの活躍が見どころ。

岩明均「ヘウレーカ」
[岩明均 著 白泉社「ヘウレーカ」より引用]

しかし敵対民族である恋人の命運を左右する出来事が、やがて起こり…。岩明均作品ならではの奇想天外さと歴史ロマンが、全1巻に詰まった名作。

夕凪の街 桜の国

夕凪の街 桜の国 (アクションコミックス)こうの史代:双葉社

こうの史代さんの「夕凪の街 桜の国」。原爆投下から10年経ったヒロシマを生きた一人の女性と、その血縁である現代を生きる女性。二人の人生が、全3編で描かれます。

戦争・原爆というシリアスなテーマながら、こうの史代さんの柔らかでユーモアを絡めた筆致で読みやすく、構えずに読める作品。

印象的なのは、ラストの主人公のセリフ。何度読んでも胸に温かいものが流れてくるような、そんな気持ちになります。時々でいいから、こういう漫画を読むのって大事だと思うの。

雑草たちよ 大志を抱け

雑草たちよ 大志を抱け (FEEL COMICS swing)池辺葵:祥伝社

池辺葵さんの「雑草たちよ 大志を抱け」。地方都市に通う、ちょっと地味な女子高生たちの心の交流を描いた連作集。

池辺葵「雑草たちよ 大志を抱け」
[池辺葵 著 池辺葵「雑草たちよ 大志を抱け」より引用]

みんながちょっとずつ、他の誰かにやさしさを分け与えているんだ。そんなことを感じずにはいられない、温かみの漂う漫画。

池辺葵さんらしい「間」も絶妙。エピローグで描かれるメッセージは本当にステキ

ネムルバカ

ネムルバカ (RYU COMICS)石黒正数:徳間書店(リュウ・コミックス)

石黒正数さんの「ネムルバカ」。「それでも町は廻っている」の歩鳥と紺先輩を彷彿とさせる、二人の女子大生の日常

ゆるゆると二人が大学生活を過ごす様が、笑いを交えながら描かれ、しかしやがて変化の時が訪れる。

石黒正数「ネムルバカ」
[石黒正数 著 徳間書店「ネムルバカ」より引用]

ごく普通の後輩と、夢への扉を開いた先輩。共通の時間を同じように過ごしているようでいて、実は見ているものが異なっていることもある。ふんわりとした日常の中で、確実に進む時。独特のゆるさの中に、石黒正数さんらしい独自の視点・心に響くメッセージが込められた青春譚。

五色の舟

五色の舟 (ビームコミックス)近藤 ようこ:KADOKAWA / エンターブレイン

津原泰水さんの原作小説を、近藤ようこさんが漫画化した「五色の舟」。特異な容姿を売りにして、生活費を稼ぐ見世物小屋の一座。彼らが未来を予言する半人半妖の妖怪「くだん」を探し求める旅を描く、幻想的な物語。

主人公たちの背負った悲哀と、未来を渇望する気持ち。それらが生み出す、全編に漂うしっとりとした物悲しさが印象的な漫画。小説の幻想的で不思議な世界観を描ききった、近藤ようこさんの手腕が光る一品。

マッドメン

マッドメン諸星大二郎:河出書房新社

諸星大二郎さんの「マッドメン」。元々は少年チャンピオン・コミックス全2巻でしたが、現在は全1巻にまとまって刊行中。パプアニューギニアの奥地を舞台に、人類学者の娘と、その異母兄弟である少年の不思議な冒険を描く、伝奇オカルト漫画。

諸星大二郎「マッドメン」
[諸星大二郎 著 集英社「マッドメン 1」より引用]

未開の文明の持つ独特の精神世界や、少年・コドワを守る怪物の姿をした精霊ン・バギ、日本の神話と絡めたストーリーなど、他に類例を見ない魅力を持つ作品。

今読むと、「これ、少年誌に掲載されてたのか…!」と驚かずにはいられない内容。「妖怪ハンター」シリーズとはまた違う、諸星大二郎作品の魅力が凝縮された漫画。おすすめ。

ヘルタースケルター

ヘルタースケルター (FEEL COMICS)岡崎京子:祥伝社

岡崎京子さんの「ヘルタースケルター」。整形によって作り上げられたトップモデル・りりこ。その容姿と精神が崩壊していく様を描いたサスペンス漫画。映画化もされました。

岡崎京子「ヘルタースケルター」
[岡崎京子 著 祥伝社「ヘルタースケルター」より引用]

「ヘルタースケルター=螺旋状の滑り台」というタイトルの通り、破滅へと突き進む恐怖、そして哀しみが描かれます。

身も心も徐々に崩れゆき、やがて狂気に取り憑かれていくりりこ。彼女の壮絶な生きざま、迫力と恐ろしさを感じます。ラストは意外な展開で…?

ドミニオン F

【電子版】ドミニオン F (カドカワデジタルコミックス)士郎 正宗:KADOKAWA / 角川書店

士郎正宗さんの「ドミニオン F」。大気汚染により、マスクが手放せなくなった近未来。戦車隊の婦警と、泥棒一味のドタバタを描くSF漫画

続編的な「ドミニオン C」もありますが、そちらはアナザーストーリー的な扱い。基本はこの一巻で完結しています。

士郎正宗「ドミニオン F」
[士郎正宗 著 KADOKAWA/角川書店「【電子版】ドミニオン F」より引用]

カワイイ戦車「ボナパルト」を駆るレオナと、大泥棒ブアク+ケモノ耳の双子らの戦い。士郎正宗漫画らしい、コミカルさと緻密なSF描写が融合した一作。警察が市街戦で小型戦車を乗り回すという発想、そして小気味良いアクションがおもしろい。

星のポン子と豆腐屋れい子

星のポン子と豆腐屋れい子 (アフタヌーンコミックス)小原愼司:講談社

原作:小原愼司さん、作画:トニーたけざきさんの「星のポン子と豆腐屋れい子」。宇宙から来た不思議なキツネ型宇宙人「ポン子」と、豆腐屋姉弟のほっこり交流を描いたSF

…と思いきや?

小原愼司/トニーたけざき「星のポン子と豆腐屋れい子」
[小原愼司/トニーたけざき 著 講談社「星のポン子と豆腐屋れい子」より引用]

ネタバレしてしまうとおもしろくないので詳細は語りませんが、予備知識無しで読むことをオススメします。あんぐり口を開ける展開が待っている、愉快なSFストーリー漫画です。

キラリティ

キラリティ(1) (ヤングキングコミックス)大石まさる:少年画報社

大石まさるさんの「キラリティ」。小惑星帯に住む双子兄妹が、身分を偽ってスペースコロニーの曳航船に乗り込む。果たしてその目的は?というSF漫画。

大石まさる「キラリティ」
[大石まさる 著 少年画報社「キラリティ」より引用]

リアルなSF描写と、スケールの大きい設定が魅力的な作品。宇宙船内で立場を入れ替え「二人で一人」として活動する双子、キラとラリティの元気な活躍が見もの。

本作は、正確には「ライプニッツ」シリーズの2作目。ですが前作を読んでいなくても問題なし。基本的に全1巻で完結しているストーリー漫画なので、不思議な宇宙ネコが出て来る、ということだけ知っていればOKです。

アーサー・ピューティーは夜の魔女

アーサー・ピューティーは夜の魔女 (MFコミックス フラッパーシリーズ)木々津克久:KADOKAWA / メディアファクトリー

木々津克久さんの「アーサー・ピューティーは夜の魔女」。高位の存在である魔女とその従者が、人間にその存在を脅かされたために放浪の旅を続ける、というオカルトSF漫画。

木々津克久「アーサー・ピューティーは夜の魔女」
[木々津克久 著 KADOKAWA/メディアファクトリー「アーサー・ピューティーは夜の魔女」より引用]

支配するものとされるものの立場が逆転、という世界観で展開される、木々津克久さんらしいブラックでシニカルなエピソードの数々がおもしろい。時間を操る悪魔・フィボナッチと絡むエピソードがトリッキーで秀逸。

なお先に「ヘレンesp」全2巻を読んでおくと、より本作が楽しめるでしょう。

ブレイン・トラッカー リピート・ユーフォリア

ブレイン・トラッカー リピート・ユーフォリア (モーニングコミックス)多田乃伸明:講談社

多田乃伸明さんの「ブレイン・トラッカー リピート・ユーフォリア」。電脳化した人間たちが住む街で、異常をきたした脳を回収する「ブレイン・トラッカー(脳探し屋)」

その一人である主人公が、かつて愛した人の影を追いながら、真実に迫る姿を描くというハードボイルドSF。

多田乃伸明「ブレイン・トラッカー リピート・ユーフォリア」
[多田乃伸明 著 講談社「ブレイン・トラッカー リピート・ユーフォリア」より引用]

ブレードランナー的な退廃した世界観と、よく練られたセリフ回し。漫画でありながらハードボイルド小説を読んでいるかのような、そんあ不思議な雰囲気を感じるストーリー漫画です。

夜よる傍に

夜よる傍に (ビームコミックス)森泉 岳土:KADOKAWA / エンターブレイン

森泉岳土さんの「夜よる傍に」。不眠症の青年と、夜にのみ視力の回復する少女。夜に出会った二人が、幻の絵本「夜をさがして」をめぐって不思議な体験をする、という幻想的なストーリー。

森泉岳土「夜よる傍に」
[森泉岳土 著 KADOKAWA/エンターブレイン「夜よる傍に」より引用]

墨や楊枝を使った独特な技法を作画に用いる森泉岳土さん。その独特な筆致で描かれる「夜の世界」に、思わず読み手も夜を彷徨っているような気分に。ファンタジックな物語も素敵です。

天国の魚(パラダイス・フィッシュ)

天国の魚(パラダイス・フィッシュ)高山 和雅:青林工藝舎

高山和雅さんの「天国の魚(パラダイス・フィッシュ)」。

地球に衝突する巨大彗星から逃れるために、シェルターへ非難した5人の家族。大津波の衝撃から目覚めた時、家族は過去の世界へ。そんな彼らの数奇な運命を描くSF漫画。

淡々と、静かに描かれる家族の流転と、彼らを包む世界に隠された秘密。その全てが明らかになる時、きっと衝撃を受けるでしょう。正統派の全1巻SF漫画です。

霧の中のラプンツェル

霧の中のラプンツェル (アクションコミックス)あらい・まりこ:双葉社

あらい・まりこさんの「霧の中のラプンツェル」。ナチスが政権を握る時代のドイツ。ユダヤ人少女・ラケルと家族の悲劇的な結末が、「ラプンツェル」の物語になぞらえて描かれます。

あらい・まりこさんらしい、ユーモアを交えて描かれるストーリー。しかし徐々に過酷になっていく環境、そしてラケルの運命から、読者は目が離せなくなっていきます。

あらい・まりこ「霧の中のラプンツェル」
[あらい・まりこ 著 双葉社「霧の中のラプンツェル」より引用]

真正面から「戦争」というテーマに取り組んだ、意欲的な漫画作品。物語は中途半端な部分で終了となっているのですが、個人的にはその未完成さに、ラケルのその後に対する想像力を掻き立てられます。

FLIP-FLAP

FLIP-FLAP (FUNUKE LABEL)とよ田みのる:

とよ田みのるさんの「FLIP-FLAP」。

いたって普通の青年が、ピンボール好きの女の子に恋をした。彼女と付き合うための条件は、あるピンボール台のハイスコアを超えること。

その日から普通の青年の、普通じゃないピンボールライフが始まった!…という、唯一無二の熱血ピンボール漫画。

とよ田みのる「FLIP-FLAP」
[とよ田みのる 著 FUNUKE LABEL「FLIP-FLAP」より引用]

カラッと楽しく、ピンボールの魅力を絡めながら描かれる、青春恋愛ストーリー。読み終わる頃には、きっとピンボールがしたくなっているはず。この勢いに打ちのめされろ!

Final Phase

Final Phase (PHPコミックス)朱戸アオ:PHP研究所

「リウーを待ちながら」の原型でもある、朱戸アオさんの「Final Phase」。

湾岸地区を襲う原因不明の病気と、それに立ち向かう医師たちを描いた、本格医療サスペンス漫画。実際に起こってもおかしくないパンデミックが、リアルな筆致で描かれます。

朱戸アオ「Final Phase」
[朱戸アオ 著 PHP研究所「Final Phase」より引用]

謎の感染症の前に人々は次々と倒れ、悪化の一途をたどる事態。その緊迫感が読者に容赦のない恐ろしさを与える、朱戸アオ医療サスペンスの原点的な作品。

新月を左に旋回

新月を左に旋回 (A.L.C. DX もっと!)衿沢世衣子:秋田書店

衿沢世衣子さんの「新月を左に旋回」。

謎の留学をした姉と入れ替わるように、中学生のユウコのもとに現れた不思議な少女・このは。そんな二人のゆるふわな日常を描く、衿沢世衣子版「オバ◯」的な漫画


[衿沢世衣子 著 秋田書店「新月を左に旋回」より引用]

普通の女の子と少し不思議な存在の組み合わせから生まれる、優しい冒険。衿沢世衣子作品には珍しく、少しダークな雰囲気も漂わせていて、なかなか新鮮な読み心地。

構えずに読めるファンタジー漫画。全1巻完結ですが、続きを読んでみたい!と思わずにはいられない。

大平面の小さな罪

大平面の小さな罪 (HARTA COMIX)岡崎 二郎:KADOKAWA / エンターブレイン

岡崎二郎さんの「大平面の小さな罪」。

世界の全ての平面を管理する「平面管理委員会」。その局員である女性と一般男性が手を組んで、平面に関わる犯罪を痛快に解決するコメディSF。

絵画・お札から入れ墨まで、「平面」ならばなんでもコントロールできる平面管理委員会、という岡崎二郎さんらしいユニークな発想が楽しい、全1巻完結漫画。

アンダーカレント

アンダーカレント アフタヌーンKCDX豊田 徹也:講談社

豊田徹也さんの「アンダーカレント」。銭湯を営む女性のもとから、突然失踪した夫。茫然自失のなか営業を再開した銭湯に、組合から紹介されたという寡黙な男が現れて―という、大人のドラマ

時折、豊田徹也さんらしいジョークを挟みながらも、しっとりと男と女の心の通い合いが描かれる。一本の映画を見終わったかのような読後感のある、ストーリー漫画です。

愛蔵版 あのこにもらった音楽

愛蔵版 あのこにもらった音楽 (花とゆめコミックス)勝田文:白泉社

勝田文さんの「愛蔵版 あのこにもらった音楽」。旅館の息子であるピアニストと、故あって旅館で家族同然に育ってきた女性。一回り以上歳の差のある二人が結婚して、ドタバタをくりひろげるマリッジ・コメディ

勝田文「愛蔵版 あのこにもらった音楽」
[勝田文 著 白泉社「愛蔵版 あのこにもらった音楽」より引用]

歳の差、と言ってもイヤンな感じはまったくなく、勝田文作品らしい、カラッとした陽気さが魅力。読んでいると気持ちが軽く、温かくなってきます。

雪女幻想 みちゆき篇

雪女幻想 みちゆき篇 (FEEL COMICS)安堂維子里:祥伝社

安堂維子里さんの「雪女幻想 みちゆき篇」。添い遂げる男を探して渡り歩く魔性の雪女と、彼女を追う男の、悲劇的にして幻想的な物語

安堂維子里「雪女幻想 みちゆき篇」
[安堂維子里 著 祥伝社「雪女幻想 みちゆき篇」より引用]

全編落ち着いた、しっとりする空気の漂う大人の漫画。しかし読んでいると徐々に冷え冷えしてくるような、狂気・ホラー感も。恐ろしくも哀しい、現代の雪女物語。

雪の峠・剣の舞

雪の峠・剣の舞 (講談社漫画文庫)岩明 均:講談社

ボリュームのある中編二つを収録した、岩明均さんの「雪の峠・剣の舞」。

戦国時代の後、領内の築城をめぐる老家臣たちと若者の、静かな戦いを描く「雪の峠」。

竹刀発明のエピソードを、復讐を目指す少女と剣豪を絡めて描く「剣の舞」。

いずれも実在の人物が登場する二編。岩明均さんならではの練りに練られたエピソード、読み応えがあります。文句なしのおもしろさを持つ一作。

はるかリフレイン

はるかリフレイン伊藤 伸平:復刊ドットコム

伊藤伸平さんの「はるかリフレイン」。自動車事故で恋人を失ってしまった女子高生・はるか。彼女が死の運命から恋人を救うために時をかける、というタイムループSF

さわやかで、ちょっとせつなくなるストーリー漫画。進研ゼミ「高一Challenge」に連載されていたという異色の作品です。

少女ゴーレムと理科室の変人たち

少女ゴーレムと理科室の変人たち (Nemuki+コミックス)榎本 ナリコ:朝日新聞出版

榎本ナリコさんの「少女ゴーレムと理科室の変人たち」。生物部の男子によって創られた人造少女と、彼らに否応なく巻き込まれた女子高生の受難を描く、オカルト・コメディ。

ファンタジーだけでなく、鉱石や化合物などの化学知識が織り込まれていて、新鮮な読み心地。基本的には笑えるストーリーですが、時にコワイのもオカルトっぽくて良い。

とりあえずは全1巻で完結していますが、続きが読みたい漫画です。

Love, Hate, Love.

Love,Hate,Love. (FEEL COMICS)ヤマシタトモコ:祥伝社

ヤマシタトモコさんの「Love, Hate, Love.」。28歳にしてバージンのバレエダンサーと、二回り年上の大学教授。マンションの隣同士である二人の、ぎこちない恋愛を描くストーリー。

ヤマシタトモコさんらしいアンニュイな雰囲気の漂う、大人のドラマ。安易に肉体関係に依らずに、二人の絶妙な距離感を表現しているのはさすが。

U[ユー]

U[ユー]今日 マチ子:太田出版

今日マチ子さんの「U[ユー]」。女性研究者が作った自分自身のコピーが、やがてオリジナルに殺意を抱くようになり…というSFサスペンス漫画

今日マチ子さんと言えばほっこり・ゆるふわな漫画が多いイメージですが、本作はうっすらとした肌寒さを感じさせてくれます。

柔らかな線で描き出される、独特の恐怖感が印象的。

アイリウム

アイリウム (モーニングコミックス)小出もと貴:講談社

小出もと貴さんの「アイリウム」。1錠で一日分の記憶を「飛ばす」ことのできる薬・アイリウム。その薬を使った人々に起こる悲喜こもごもを描くオムニバス。

小出もと貴「アイリウム」
[小出もと貴 著 講談社「アイリウム」より引用]

「アイリウム」という小道具は同じながらも、サスペンス、恐怖、ドラマなど描かれる内容が全く異なるという、多彩なアイデアが素晴らしい。一話一話に異なる読後感があります。

長い道

長い道 (アクションコミックス)こうの史代:双葉社

こうの史代さんの「長い道」。甲斐性なしのダメ男と、成り行きで夫婦になったおっとり妻の、脳天気な生活をコミカルに描く、全1巻完結漫画。

ダメ男に憤りつつも、その妻・道のちょっと変わった性格がそれをやんわり中和(笑)。人情話あり、ファンタジックな話あり、怖い話あり。そしてちょっと素敵な話もあったり、のハートフル・コメディ。

YOUNG & FINE

YOUNG&FINE山本 直樹:復刊ドットコム

山本直樹さんの「YOUNG & FINE」。海辺の田舎町に暮らす高校生。彼女と最後の一線を超えられない関係が続くが、新任女性教師と同居することになって…というコメディ。

山本直樹「YOUNG & FINE」
[山本直樹 著 復刊ドットコム「YOUNG & FINE」より引用]

山本直樹作品ということで当然それなりのシーンはあるんだけど、不思議と爽やかなのは最後までいかないからなのか(笑)。

主人公と女性教師のなんとかなりそでならない関係も良い。独特の空気感を持つ作品。

ストロボライト

ストロボライト青山 景:太田出版

青山景さんの「ストロボライト」。文学青年である大学生と、彼が愛するマイナー映画の主演だった同級生女性。二人の出会いとすれ違いを、夜行列車に乗って回想するという形で描く、少し幻想的な青春ストーリー。

青山景「ストロボライト」
[青山景 著 太田出版「ストロボライト」より引用]

漫画なので当然白黒なのですが、本作を読むとそのモノクロ感がより際立つのはなぜなのだろう。夭折された青山景さんが遺してくれた、決して多くはない漫画の一つ。

The Mark of Watzel

The Mark of Watzel (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)武富智:集英社

武富智さんの「The Mark of Watzel」。

かつてはアクション・スターだったが、今は悪徳セールスマンとなった老俳優ワッツェル。彼のファンである脳腫瘍を持つ少女を、イメージ療法で救うサポートを引き受けるが…というお話。

少女がイメージの中で、ヒーローとして躍動する姿が素晴らしい。ファンタジーではなく、人間ドラマがメインの作品です。

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