全1巻完結のおすすめ長編ストーリー漫画まとめ

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これまでに読んだ漫画の中からチョイスした、全1巻で完結するおもしろいストーリー漫画のまとめです。

基本的に、1巻で完結している長編漫画(一部中編もあり)のご紹介です。

ストーリー漫画リスト

マイ・ブロークン・マリコ

WEBで第一話が公開されるやいなや爆発的な話題を呼んだ、平庫ワカさんの全1巻ストーリー漫画「マイ・ブロークン・マリコ」。

親友・マリコの死を知ったOL・シイノは、矢も盾もたまらず彼女にDVを続けていた親父を急襲。刃物を突きつけ「(テメエに)弔われたって!!白々しくてヘドが出ンだよぉ!!!」と叫び、そして遺骨を奪って走り出すが…?

後先考えずに親友の骨を奪取し、かつてマリコが行きたがっていた海へ向かうシイノの、圧倒的にほとばしる生命感。そのシイノが輝けば輝くほど、対象的に浮かび上がってくるマリコの死。友を思うシイノの叫びが突き刺さり、そして彼女から目が離せなくなっていく。駆け抜けるような全4話は、圧巻。ほか短編「YISKA」を併録。

花と頬

父が有名音楽ユニットのボーカルである女子高生・頬子(ホホコ)と、大柄で物静かな転校生男子・八尋。二人のひと夏の出会いをゆるやかに綴るガール・ミーツ・ボーイ、イトイ圭さんの「花と頬」。

多感にして純粋、同時に打算的な気持ちも持ち合わせる思春期の少年少女。二人の絶妙な距離感が、夏という開放的な空気にあてられて縮まったり縮まらなかったり。静謐な空気に二人の気持ちが漂っているような、不思議な雰囲気が素敵。

またページ・コマの随所から受ける「映画的」な描写が独特。図書室で二人が一枚のルーズリーフに交互にメッセージを書き込んでする「会話」など、青春映画のようなシーンの数々が印象的。キャラクターだけではない、風景やカットの一つ一つにセンスを感じる漫画。ストーリを読み終わったあとも、2周・3周と楽しめるのでは。

志乃ちゃんは自分の名前が言えない

押見修造さんの「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」。吃音症の少女・志乃とその友人たちの、不器用な友情を描く青春ストーリー。

自分の名前がスムーズに発音できずに、引っ込み思案となる志乃。しかし彼女の苦しみだけではなく、彼女もまた友人を傷つけてしまう様が描かれる点が秀逸。志乃を悲劇のヒロインとせず、あくまでも等身大の高校生として描いているところが、物語に深みを生み出しています。

志乃や友人たち、各キャラクターの表情も素晴らしい。セリフを多用せず、雰囲気で各人物の胸の内を描き出す、押見修造氏の手腕がお見事。胸を打つ最終話は必見。

ヘウレーカ

岩明均さんの「ヘウレーカ」。紀元前200余年のシチリアを舞台に、アルキメデスの弟子となった青年・ダミッポスの生きざまが描かれます。

アルキメデスの発明した奇想天外な兵器が、ローマに攻め入った敵を破壊的に駆逐していく様。それに負けじと、知恵を働かせるダミッポスの活躍が見どころ。

しかし敵対民族である恋人の命運を左右する出来事が、やがて起こり…。岩明均作品ならではの奇想天外さと歴史ロマンが、全1巻に詰まった名作。

となりのロボット

「わたしはロボットです。今はだいたい 人と同じことができます」というロボット・ヒロと、女子高生・チカ。二人の微妙な関係を描く西UKOさんの百合漫画「となりのロボット」。

研究機関の高性能な開発用ロボットであるヒロと、幼少の頃から彼女の開発に「友人」として協力するチカ。やがてチカは、身長が同じになるぐらいまでにヒロを恋愛対象として見るように。しかし感情の無いヒロは、チカの思いを受け止めることが…?

人間とロボットの恋愛、というとファンタジー風味を想像しますが、この「となりのロボット」が稀有なのは純粋に「SF(サイエンス・フィクション)」な物語であること。ヒロのバックにある研究機関含め、科学描写がビックリするほどリアル。読む前と読んだ後では、作品に対する印象がガラッと変わるのではないでしょうか。唯一無二のリアルSF百合漫画。

我らコンタクティ

森田るいさんの「我らコンタクティ」。小学校以来の再会を果たした同級生の男女が、宇宙人へのメッセージとして「あるもの」を搭載したロケットを打ち上げようとする物語。

約250ページと、全1巻完結漫画としては多めのボリュームながら、テンポよく展開されるストーリー。個人によるロケット開発ならではの、フリーダムな楽しさが伝わってくる漫画です。

ちょっとゲスいヒロイン・カナエと、ロケットを独力で開発する朴訥とした青年・かずき。主人公2人に加え、少し訳ありな周囲のキャラクターたちも魅力的。

独特のユーモアを絡めながら、カナエたちがロケットの打ち上げに向けて「駆け抜けていく」様子が心地よい。序盤のゆるさとは一転、読み終える頃には彼女らと一体化するような気持ちになる、街のロケット開発物語です。

二本松兄妹と木造渓谷の冒険

水上悟志さんの「二本松兄妹と木造渓谷の冒険」。拝み屋の兄妹と、そのライバルである退魔師。彼らが幸運の座敷童子と、彼女の故郷である異界・木造渓谷をめぐってドタバタを繰り広げる、オカルト・コメディ漫画。

ちょっとクセがあるけど個性的な変身ヒーロー・二本松兄妹と、退魔師率いるすずめ軍団の戦い。そして異次元の不思議空間・木造渓谷でテンポよく展開される、迫力のアクションがおもしろい。

「惑星のさみだれ」や「スピリットサークル」などで培われた作者・水上悟志さんの熟練の手腕が、ギュッと凝縮された世界観。全1巻できっちりと完結させ、そしてまだまだその世界を広げることができそうな物語の作り方。続編を読んでみたい!と思わずにはいられません。終盤の盛り上がりは燃える!

邪眼は月輪に飛ぶ

藤田和日郎さんの「邪眼は月輪に飛ぶ」。眼が合ったものを即死させる巨大フクロウ・ミネルヴァと、それを追う猟師・祈祷師・米軍人たちの戦いを描く、オカルト・アクション漫画。

「見られたら死ぬ」という緊張感の下で展開される、人間とモンスターの行き詰まる戦い。ノンストップで描かれる、そのスピード感がスゴイ。読み終わった後、フーッ、と思わず深く息を吐いてしまうような没入感。

全1巻ながら、主要登場人物すべてに魅力的なキャラクター性を持たせ、さらに敵役であるミネルヴァにさえストーリーを作る描き方もお見事。藤田和日郎漫画のおもしろみが詰まった作品です。

インハンド プロローグ 1巻 ネメシスの杖

※本作はもともと全1巻完結漫画「ネメシスの杖」として刊行されていましたが、TVドラマ化に伴い「インハンド プロローグ 1巻 ネメシスの杖」として再刊行されました。本記事ではオリジナルをもとにレビューしています。


「リウーを待ちながら」の作者、朱戸アオさんの「ネメシスの杖」。何者かによって引き起こされた、致死性の病気を引き起こす寄生虫への感染事件。厚労省の女性役人と変わり者の医学博士が事件の謎に迫る、医療サスペンス漫画。

薬害事件やお役所の体質など、社会的な問題も提起しながら展開される、緊迫感あふれるストーリー。すぐにでも2時間ドラマの原作にできるクオリティ。

真っ直ぐな行動力を持つ主人公・阿里玲と、彼女の相棒となる義手の科学者・紐倉博士。二人のバディとしての活躍も魅力的。物語全体に漂う張り詰めた空気がたまらない、医療サスペンス・ミステリーの隠れた名作です。

バビロンまでは何光年?

道満晴明さんの「バビロンまでは何光年?」。地球が謎の爆発、ひとり生き残った青年と、彼を偶然助けた宇宙人たち。彼らがスチャラカに旅をする様子をコミカル、かつお下劣に描いたコメディSF。

序盤、やたら宇宙人たちとS○Xしたがる主人公(笑)。が、実はそれがのちのちのストーリーに繋がる伏線だったりするから侮れない。一見適当に進んでいるようで、しかし物語が中盤~終盤と進むに連れいろんなことが見えてくる、という仕組みはこれぞ全1巻の醍醐味。

ゆるゆるなんだけど不思議なSF感のある、道満晴明氏らしいセンスがあふれている一作。気楽に読みはじめて、気づくとグイグイ引き込まれていきます。お下品な笑いもGood!

Silent Blue

安堂維子里さんの「Silent Blue」。隕石が落下してできた湖。そこに眠る「街」と自身の失われた記憶を求めて、湖の底にダイブする女性を描くソフトなSF漫画。

純粋な気持ちで、湖へのダイブを繰り返す主人公・あおこ。彼女が潜水する際のファンタジックな表現が素晴らしい。思わずハッとしてしまう美しさ・目を引きつけられる魅力があります。

作者の安堂維子里さんは「水」をテーマにした漫画を多数描かれていますが、その魅力は本作でもいかんなく発揮。全編に「みずみずしさ」が漂い、読後に爽やかな気持ちになる作品。モノクロ漫画なのに、不思議と蒼い景色が目に浮かぶような。

夕凪の街 桜の国

こうの史代さんの「夕凪の街 桜の国」。原爆投下から10年経ったヒロシマを生きた一人の女性と、その血縁である現代を生きる女性。二人の人生が、全3編で描かれます。

戦争・原爆というシリアスなテーマながら、こうの史代さんの柔らかでユーモアを絡めた筆致で読みやすく、構えずに読める作品。

印象的なのは、ラストの主人公のセリフ。何度読んでも胸に温かいものが流れてくるような、そんな気持ちになります。時々でいいから、こういう漫画を読むのって大事だと思うの。

うどんの女

うどんを担当する「学食のおばちゃん」(バツイチ35歳)と、美術系大学生(21歳)。学食でしか繋がりの無い二人が、うどんを通して愛を育んでいく?ちょっとコミカルな恋愛ドラマ、えすとえむさんの「うどんの女(ひと)」。

安くて温かくて適度にお腹を満たしてくれる、貧乏学生の鉄板メニューである「うどん」。そのうどんを頼み頼まれる二人は、いつの間にか互いを妙に意識してしまう間柄に。一歩を踏み出そうとするも、女性の元夫が学生の担当教授だったことが判明したりして、やや複雑な展開に。果たして二人の恋の行方やいかに?

…という基本、恋愛ものなのですが、根底に常にうどんの存在があるのが、物語全体に不思議なおかしみを生み出しています。えすとえむさん描くアダルティックな雰囲気とコメディ要素が絶妙に融合した、ちょっと笑える大人の恋愛ドラマです。

ネムルバカ

石黒正数さんの「ネムルバカ」。「それでも町は廻っている」の歩鳥と紺先輩を彷彿とさせる、二人の女子大生の日常。

ゆるゆると二人が大学生活を過ごす様が、笑いを交えながら描かれ、しかしやがて変化の時が訪れる。

ごく普通の後輩と、夢への扉を開いた先輩。共通の時間を同じように過ごしているようでいて、実は見ているものが異なっていることもある。ふんわりとした日常の中で、確実に進む時。独特のゆるさの中に、石黒正数さんらしい独自の視点・心に響くメッセージが込められた青春譚。

五色の舟

津原泰水さんの原作小説を、近藤ようこさんが漫画化した「五色の舟」。特異な容姿を売りにして、生活費を稼ぐ見世物小屋の一座。彼らが未来を予言する半人半妖の妖怪「くだん」を探し求める旅を描く、幻想的な物語。

主人公たちの背負った悲哀と、未来を渇望する気持ち。それらが生み出す、全編に漂うしっとりとした物悲しさが印象的な漫画。小説の幻想的で不思議な世界観を描ききった、近藤ようこさんの手腕が光る一品。

マッドメン

諸星大二郎さんの「マッドメン」。元々は少年チャンピオン・コミックス全2巻でしたが、現在は全1巻にまとまって刊行中。パプアニューギニアの奥地を舞台に、人類学者の娘と、その異母兄弟である少年の不思議な冒険を描く、伝奇オカルト漫画。

未開の文明の持つ独特の精神世界や、少年・コドワを守る怪物の姿をした精霊ン・バギ、日本の神話と絡めたストーリーなど、他に類例を見ない魅力を持つ作品。

今読むと、「これ、少年誌に掲載されてたのか…!」と驚かずにはいられない内容。「妖怪ハンター」シリーズとはまた違う、諸星大二郎作品の魅力が凝縮された漫画。おすすめ。

ヘルタースケルター

岡崎京子さんの「ヘルタースケルター」。整形によって作り上げられたトップモデル・りりこ。その容姿と精神が崩壊していく様を描いたサスペンス漫画。映画化もされました。

「ヘルタースケルター=螺旋状の滑り台」というタイトルの通り、破滅へと突き進む恐怖、そして哀しみが描かれます。

身も心も徐々に崩れゆき、やがて狂気に取り憑かれていくりりこ。彼女の壮絶な生きざま、迫力と恐ろしさを感じます。ラストは意外な展開で…?

ドミニオン F

士郎正宗さんの「ドミニオン F」。大気汚染により、マスクが手放せなくなった近未来。戦車隊の婦警と、泥棒一味のドタバタを描くSF漫画。

続編的な「ドミニオン C」もありますが、そちらはアナザーストーリー的な扱い。基本はこの一巻で完結しています。

カワイイ戦車「ボナパルト」を駆るレオナと、大泥棒ブアク+ケモノ耳の双子らの戦い。士郎正宗漫画らしい、コミカルさと緻密なSF描写が融合した一作。警察が市街戦で小型戦車を乗り回すという発想、そして小気味良いアクションがおもしろい。

星のポン子と豆腐屋れい子

原作:小原愼司さん、作画:トニーたけざきさんの「星のポン子と豆腐屋れい子」。宇宙から来た不思議なキツネ型宇宙人「ポン子」と、豆腐屋姉弟のほっこり交流を描いたSF。

…と思いきや?

ネタバレしてしまうとおもしろくないので詳細は語りませんが、予備知識無しで読むことをオススメします。あんぐり口を開ける展開が待っている、愉快なSFストーリー漫画です。

キラリティ

大石まさるさんの「キラリティ」。小惑星帯に住む双子兄妹が、身分を偽ってスペースコロニーの曳航船に乗り込む。果たしてその目的は?というSF漫画。

リアルなSF描写と、スケールの大きい設定が魅力的な作品。宇宙船内で立場を入れ替え「二人で一人」として活動する双子、キラとラリティの元気な活躍が見もの。

本作は、正確には「ライプニッツ」シリーズの2作目。ですが前作を読んでいなくても問題なし。基本的に全1巻で完結しているストーリー漫画なので、不思議な宇宙ネコが出て来る、ということだけ知っていればOKです。

アーサー・ピューティーは夜の魔女

木々津克久さんの「アーサー・ピューティーは夜の魔女」。高位の存在である魔女とその従者が、人間にその存在を脅かされたために放浪の旅を続ける、というオカルトSF漫画。

支配するものとされるものの立場が逆転、という世界観で展開される、木々津克久さんらしいブラックでシニカルなエピソードの数々がおもしろい。時間を操る悪魔・フィボナッチと絡むエピソードがトリッキーで秀逸。

なお先に「ヘレンesp」全2巻を読んでおくと、より本作が楽しめるでしょう。

ブレイン・トラッカー リピート・ユーフォリア

多田乃伸明さんの「ブレイン・トラッカー リピート・ユーフォリア」。電脳化した人間たちが住む街で、異常をきたした脳を回収する「ブレイン・トラッカー(脳探し屋)」。

その一人である主人公が、かつて愛した人の影を追いながら、真実に迫る姿を描くというハードボイルドSF。

ブレードランナー的な退廃した世界観と、よく練られたセリフ回し。漫画でありながらハードボイルド小説を読んでいるかのような、そんあ不思議な雰囲気を感じるストーリー漫画です。

夜よる傍に

森泉岳土さんの「夜よる傍に」。不眠症の青年と、夜にのみ視力の回復する少女。夜に出会った二人が、幻の絵本「夜をさがして」をめぐって不思議な体験をする、という幻想的なストーリー。

墨や楊枝を使った独特な技法を作画に用いる森泉岳土さん。その独特な筆致で描かれる「夜の世界」に、思わず読み手も夜を彷徨っているような気分に。ファンタジックな物語も素敵です。

天国の魚(パラダイス・フィッシュ)

高山和雅さんの「天国の魚(パラダイス・フィッシュ)」。

地球に衝突する巨大彗星から逃れるために、シェルターへ非難した5人の家族。大津波の衝撃から目覚めた時、家族は過去の世界へ。そんな彼らの数奇な運命を描くSF漫画。

淡々と、静かに描かれる家族の流転と、彼らを包む世界に隠された秘密。その全てが明らかになる時、きっと衝撃を受けるでしょう。正統派の全1巻SF漫画です。

霧の中のラプンツェル

あらい・まりこさんの「霧の中のラプンツェル」。ナチスが政権を握る時代のドイツ。ユダヤ人少女・ラケルと家族の悲劇的な結末が、「ラプンツェル」の物語になぞらえて描かれます。

あらい・まりこさんらしい、ユーモアを交えて描かれるストーリー。しかし徐々に過酷になっていく環境、そしてラケルの運命から、読者は目が離せなくなっていきます。

真正面から「戦争」というテーマに取り組んだ、意欲的な漫画作品。物語は中途半端な部分で終了となっているのですが、個人的にはその未完成さに、ラケルのその後に対する想像力を掻き立てられます。

FLIP-FLAP

とよ田みのるさんの「FLIP-FLAP」。

いたって普通の青年が、ピンボール好きの女の子に恋をした。彼女と付き合うための条件は、あるピンボール台のハイスコアを超えること。

その日から普通の青年の、普通じゃないピンボールライフが始まった!…という、唯一無二の熱血ピンボール漫画。

カラッと楽しく、ピンボールの魅力を絡めながら描かれる、青春恋愛ストーリー。読み終わる頃には、きっとピンボールがしたくなっているはず。この勢いに打ちのめされろ!

Final Phase

「リウーを待ちながら」の原型でもある、朱戸アオさんの「Final Phase」。

湾岸地区を襲う原因不明の病気と、それに立ち向かう医師たちを描いた、本格医療サスペンス漫画。実際に起こってもおかしくないパンデミックが、リアルな筆致で描かれます。

謎の感染症の前に人々は次々と倒れ、悪化の一途をたどる事態。その緊迫感が読者に容赦のない恐ろしさを与える、朱戸アオ医療サスペンスの原点的な作品。

新月を左に旋回

衿沢世衣子さんの「新月を左に旋回」。

謎の留学をした姉と入れ替わるように、中学生のユウコのもとに現れた不思議な少女・このは。そんな二人のゆるふわな日常を描く、衿沢世衣子版「オバ◯」的な漫画。

普通の女の子と少し不思議な存在の組み合わせから生まれる、優しい冒険。衿沢世衣子作品には珍しく、少しダークな雰囲気も漂わせていて、なかなか新鮮な読み心地。

構えずに読めるファンタジー漫画。全1巻完結ですが、続きを読んでみたい!と思わずにはいられない。

アンダーカレント

豊田徹也さんの「アンダーカレント」。銭湯を営む女性のもとから、突然失踪した夫。茫然自失のなか営業を再開した銭湯に、組合から紹介されたという寡黙な男が現れて―という、大人のドラマ。

時折、豊田徹也さんらしいジョークを挟みながらも、しっとりと男と女の心の通い合いが描かれる。一本の映画を見終わったかのような読後感のある、ストーリー漫画です。

雪女幻想 みちゆき篇

安堂維子里さんの「雪女幻想 みちゆき篇」。添い遂げる男を探して渡り歩く魔性の雪女と、彼女を追う男の、悲劇的にして幻想的な物語。

全編落ち着いた、しっとりする空気の漂う大人の漫画。しかし読んでいると徐々に冷え冷えしてくるような、狂気・ホラー感も。恐ろしくも哀しい、現代の雪女物語。

雪の峠・剣の舞

ボリュームのある中編二つを収録した、岩明均さんの「雪の峠・剣の舞」。

戦国時代の後、領内の築城をめぐる老家臣たちと若者の、静かな戦いを描く「雪の峠」。

竹刀発明のエピソードを、復讐を目指す少女と剣豪を絡めて描く「剣の舞」。

いずれも実在の人物が登場する二編。岩明均さんならではの練りに練られたエピソード、読み応えがあります。文句なしのおもしろさを持つ一作。

Love, Hate, Love.

ヤマシタトモコさんの「Love, Hate, Love.」。28歳にしてバージンのバレエダンサーと、二回り年上の大学教授。マンションの隣同士である二人の、ぎこちない恋愛を描くストーリー。

ヤマシタトモコさんらしいアンニュイな雰囲気の漂う、大人のドラマ。安易に肉体関係に依らずに、二人の絶妙な距離感を表現しているのはさすが。

U[ユー]

今日マチ子さんの「U[ユー]」。女性研究者が作った自分自身のコピーが、やがてオリジナルに殺意を抱くようになり…というSFサスペンス漫画。

今日マチ子さんと言えばほっこり・ゆるふわな漫画が多いイメージですが、本作はうっすらとした肌寒さを感じさせてくれます。

柔らかな線で描き出される、独特の恐怖感が印象的。

YOUNG & FINE

山本直樹さんの「YOUNG & FINE」。海辺の田舎町に暮らす高校生。彼女と最後の一線を超えられない関係が続くが、新任女性教師と同居することになって…というコメディ。

山本直樹作品ということで当然それなりのシーンはあるんだけど、不思議と爽やかなのは最後までいかないからなのか(笑)。

主人公と女性教師のなんとかなりそでならない関係も良い。独特の空気感を持つ作品。

ストロボライト

青山景さんの「ストロボライト」。文学青年である大学生と、彼が愛するマイナー映画の主演だった同級生女性。二人の出会いとすれ違いを、夜行列車に乗って回想するという形で描く、少し幻想的な青春ストーリー。

漫画なので当然白黒なのですが、本作を読むとそのモノクロ感がより際立つのはなぜなのだろう。夭折された青山景さんが遺してくれた、決して多くはない漫画の一つ。

The Mark of Watzel

武富智さんの「The Mark of Watzel」。

かつてはアクション・スターだったが、今は悪徳セールスマンとなった老俳優ワッツェル。彼のファンである脳腫瘍を持つ少女を、イメージ療法で救うサポートを引き受けるが…というお話。

少女がイメージの中で、ヒーローとして躍動する姿が素晴らしい。ファンタジーではなく、人間ドラマがメインの作品です。

まとめ

以上、「全1巻完結のおすすめ長編ストーリー漫画まとめ」でした。おもしろい全1巻完結ストーリー漫画を読み次第、随時追記します。

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