学園もの漫画漫画感想・レビュー短編漫画集

漫画『雑草たちよ 大志を抱け』感想―やさしさが、輝ける瞬間

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ひっそりと咲く地方高校の女子高生たち。その胸に、大きな志とあたたかな心を抱いて―。

池辺葵さんの1巻完結漫画「雑草たちよ 大志を抱け」を読みました。漫画の主人公は目が大きくてキラキラしているのが王道ですが…。

ちょっと地味目な(失礼)少女たち。夕暮れをバックに思い思いの方向を向いていますが、その心の中やいかに。

「雑草たちよ 大志を抱け」レビュー

概要

「雑草たちよ 大志を抱け」は、祥伝社「FEEL COMICS swing」より刊行の単巻完結漫画。全5話+エピローグから成る構成です。

  • なづな…少し頑固だけど無類のやさしさを持つ。眉毛が気になっている。
  • ひーちゃん…なづなの幼馴染み。寡黙で無表情。
  • たえ子…進学校から来た転校生。成績優秀だが運動は苦手。
  • ピコ…小柄でゲーム好き。家庭環境が少し特殊。
  • 久子…アイドル好き。毛深さと人の触れ合いが気になる年頃。

…という地方都市の高校に通う5人の高校生が、各話の主役をつとめる連作短編集です。

雑草たちよ 大志を抱け (FEEL COMICS swing)池辺葵:祥伝社

やさしさを受け取る感性

「やさしさ」が光を持つ、輝ける瞬間があります。それは「やさしくした時」でも「やさしくされた時」でもなく、「やさしさに気づいた時」なのではないかと思うのです。

やさしくしても、一方通行だったり、ひとりよがりだったり。

そもそもそれは本当のやさしさなのか、考えたり。

やさしくされても、気づかなかったり、迷惑だったり、裏を読んだり。

気づいても、もうそれを伝える相手がいなかったり。

でもこの「雑草たちよ 大志を抱け」では、そんなやさしさがちゃんと掬(すく)われている。女子高生5人(と、彼女たちのクラスメイト)は、個性や境遇の違いはありますが、それぞれがやさしさを持ち、そしてやさしさを受け取る感性を持っています。

心が輝きを放つ瞬間

その中でも「なづな」は、無類のやさしい心を持つ存在。そしてそのやさしさを感じ取ってくれる「ひーちゃん」という友人の存在が、彼女のやさしさを際立たせる。

二人のやり取りの中で、やさしさがパァッと光を放って輝く瞬間が心に伝わります。

そして読んだ後、なぜだか心が少し軽く、晴れやかになったような気がする、そんな作品でした。エピローグで描かれる、なづな達とペコのお母さんとの会話も必見です。

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