マンガ版「ゼルダの伝説」―石ノ森章太郎描くリンクの旅

石ノ森章太郎(旧ペンネーム:石森章太郎)さんと言えば、手塚治虫さん・藤子不二雄さんらと並んで一時代を築いた、大御所の漫画家さん。

「サイボーグ009」「仮面ライダー」「幻魔大戦」「人造人間キカイダー」と、著名な作品を挙げれば枚挙にいとまがありません。

そんな石ノ森章太郎さん。任天堂のゲーム「ゼルダの伝説」のコミカライズを手がけられていた、って知ってました?

こちら。タイトル名もズバリ「ゼルダの伝説」です。

現在は「石ノ森章太郎デジタル大全」の1冊として、電子書籍版が読めます。

カバーのリンク、ちょっとズングリムックリでホビットっぽい(笑)。

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石ノ森版「ゼルダの伝説」レビュー

概要

「ゼルダの伝説」は任天堂の大人気ゲーム。

ファミコン版を皮切りに、以後「神々のトライフォース」「時のオカリナ」とシリーズ作品が制作され、現在も新作が発売されています。

初期の基本線は、盗賊・ガノンドロフにさらわれたゼルダ姫を少年・リンクが救う、というアクション・ファンタジー。

その後ファミコンの後継機種・スーパーファミコンが発売され、1991年にはスーファミ用ソフトとしてアクションRPG「ゼルダの伝説 神々のトライフォース」が発売されました。

本作・石ノ森章太郎版「ゼルダの伝説」は、初出が1992年1月。登場する「司祭アグニム」「長老サハスラーラ」などの登場人物から見ても、「神々のトライフォース」を漫画化したことがうかがえます。


[石ノ森章太郎 著 講談社「ゼルダの伝説 (石ノ森章太郎デジタル大全)」より引用]

そしてこの漫画、石ノ森作品でもちょっと変わり種の一品。アメリカの雑誌「NINTENDO POWER」に連載する「ため」に描かれた作品なんです。

そのためページのめくり方が、日本のコミックとは逆であるのが特徴的。

また日本発売版は、セリフが全て日本語に置き換わっていますが、絵で描かれた擬音語などは全てアルファベットです。

なお元々はフルカラーだったそうですが、この「石ノ森章太郎デジタル大全」では、モノクロでの収録となっています。

独特の雰囲気を持つゼル伝

いやー、なんか不思議な感じ。石ノ森章太郎先生のタッチで読む「ゼルダの伝説」。独特の雰囲気があっていいですね。


[石ノ森章太郎 著 講談社「ゼルダの伝説 (石ノ森章太郎デジタル大全)」より引用]

キャラクターは石ノ森テイストそのまま、しかし世界観やモンスターなどは完全にゼル伝。意外とマッチしています。

多くのアニメ作品の原作を手がけられている石ノ森先生なので、その作風がファンタジーゲームとも親和性が高いのかも。

物語を見てみると、展開はわりと駆け足。ゲームではボス的なモンスターとの戦いも、トントン拍子で進みます。

しかしそこは大御所作家の味。ゲームのボリュームを詰め込みつつも、程よい加減で消化していてさすがです。

海外向けの作りが新鮮

そして石ノ森版「ゼルダの伝説」の特徴は、なんといっても海外向けの仕様であるということ。

ページめくりが日本と逆であることに加え、擬音語・擬態語が全て英語・アルファベットで描かれており、実に新鮮。

日本語だったら「ズバーン!」とか「プシューッ」のような表記になるところが、「BASHOOOM!」「SHHHOOOP…」みたいな感じ。


[石ノ森章太郎 著 講談社「ゼルダの伝説 (石ノ森章太郎デジタル大全)」より引用]

私はあまりアメコミ文化に馴染みがないのですが、読んでいるとこれがなかなかおもしろい。

なおかつ、これを石ノ森章太郎氏が描いていると思うと、さらにおもしろさも倍、です。

オリジナルキャラクターも登場

物語後半では、リンクの味方になる「ローム」という人物が登場します。


[石ノ森章太郎 著 講談社「ゼルダの伝説 (石ノ森章太郎デジタル大全)」より引用]

これはスーファミ版では見かけなかったので、オリジナルキャラクターのようですが…。

あれ、どこかで見たことが…?

石ノ森ファンならばニヤリとする人物ですね(笑)。

ラストもゲームとはまた違う、余韻のある終わり方。200ページ近いボリュームで読み応えもあり、いろいろな意味で楽しめる作品でした。

まとめ

というわけで石ノ森章太郎版「ゼルダの伝説」。大御所の描かれたゲームのコミカライズ、しかも逆輸入漫画ということで、なかなか貴重な一冊です。

巻末には石ノ森章太郎氏による、「連載を終えてのちょっとひとこと」というコラムも掲載されています。

しかし自身のテイストはそのままに「ゼルダの伝説」をコミカライズする、石ノ森先生の手腕はさすが。

石ノ森ファンもゼル伝ファンも、きっと不思議な感覚に陥るであろう、ユニークな世界観を体験してみてください。

ゼルダの伝説 (石ノ森章太郎デジタル大全)著者:石ノ森章太郎出版社:講談社発行日:2014-09-26

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