これはなかなかの良書。デヴィッド・ビアンキさんの「お父さんが教える 13歳からの金融入門」。
タイトル通り、13歳ぐらいのローティーンに向けて書かれた経済入門書。しかし「お父さんが教える」というところにポイントがあります。
概要
著者のデヴィッド・ビアンキ氏は、アメリカのベテラン弁護士。13歳の息子におカネと投資の基本を教えようと思って書き始めたものが、一冊の本になった、というもの。
- カネ、カネ、カネ
- おカネのいろいろな支払い方
- 株式市場はかっこいい
- 株を売買してみよう
- オプション(知ってると友だちに自慢できるよ!)
- ファンド(めちゃくちゃ大きなおカネの停留所)
- 債権と譲渡性預金(退屈だと思ったら大まちがい!)
- 企業分析(マジで、これをやるとすごく賢くなれる)
- おカネを借りる(絶対に、借りすぎないこと!)
- 金利(寝てるあいだに儲けよう)
- 純資産(君の持ち物の価値は?)
- 税金(安ければ安いほどいいね)
- 経済(ビジネス中のビジネス)
- ベンチャー・キャピタルとプライベート・エクイティ(大きく賭けて、大きく儲ける)
- おカネに賢く(クラスでいちばんになろう!)
- これでおしまい―じゃなくて、これが始まり
上記の全16章で構成されている本書。各章のタイトルを見れば、金融や経済の大体の部分がカバーされていることがわかるかと思います。
感想
「お父さんが教える 13歳からの金融入門」。ざっと読んだ感じとしては、中学生はもちろん、大人が読んでも勉強になる、金融・経済の幅広い知識を学べる本、という印象。
「いまどきは、なにをするにもおカネがかかる。」
こんな身も蓋もない出だしから始まる本書。序盤では通貨や為替の仕組み、クレジットカードの収益構造など、ちょうど13歳ぐらいが興味を持ちそうな事柄を解説してくれます。
これは翻訳がいいんでしょうね。文章がものすごく読みやすい。書かれていることがスッと頭に入ってきます。
また若干17歳のカイル・ビアンキ君が描いた挿絵が、とても秀逸。要所要所に描かれたイラストが親しみを与え、ページをめくる手助けをしてくれます。
中盤・後半と進むにつれて専門的な用語も増えてきますが、それらを比較的平易に、わかりやすく説明しているという感じ。
まあ実際に金融用語や仕組みを理解できるかというのは、多少は理解力も必要になってくるので、この辺りは読み手に委ねる部分もあるでしょう。
ただ決して難解というわけではなく、ティーンエイジャーはもちろん、金融・経済書が苦手な大人でも、これだったら読めるのでは、という内容です。
強いて難をあげれば、アメリカ固有の金融・経済事情による内容も含まれていること。ですが日本の経済はアメリカとの関わりが深いので、そこを早い内から理解できるのは、逆にメリットとも言えそうです。
そして読んでいて気づくのは、これはお父さん(もしくはお母さん)にとっても、たいへん有用な本だということ。
食卓でニュースを見ていて、経済用語が出てきた時。「ねぇ、◯◯◯ってなんのこと?」なんて質問するお子さんもいるでしょう。
そんな時に本書を読んでおくと、焦ることなく子どもに正しい知識を伝えられるのでは。
子どもが読んでももちろん役に立つ本ですが、大人が正しい知識を身に着け、子どもにそれを伝える、といった役割も担っている印象。特に金融・経済が苦手な大人(私もそうです)にも、オススメしたい書籍です。
まとめ
以上、「お父さんが教える 13歳からの金融入門」の感想でした。
子どもが読めばもちろん役に立つし、親が子どもに経済知識を教えられるように読む、という読み方でも役に立つ本です。
なかなかこういった本に手が伸びない子どもには、まず親が勉強して伝える、という姿勢が大事ですね。