「人に言えない秘密はあるかい?一人で抱えきれない時は、こっそり僕に打ち明けてくれ―」
「秘密」を買い取る謎多きバー・オーナーと客たちの、ミステリアスな会話劇。”えすとえむ”さんの漫画『王様の耳 秘密のバーへようこそ』感想・レビューです。
連載は小学館の雑誌「女性セブン」で、単行本1~5巻が刊行中(2024年10月現在)。以下、『王様の耳 秘密のバーへようこそ』の主なあらすじや見どころなどご紹介します。
『王様の耳 秘密のバーへようこそ』あらすじ
隠れ家的バー「王様の耳」のオーナー・鳳麟太郎。そのもうひとつの仕事は「秘密の買い取り」。
秘密を買い取ってもらいたい客たちは、謎のカクテル「ガイダロス」をオーダー。
- 自身の秘密であること
- 今まで誰にも口外していないこと
- 買い取った秘密は今後二度と口にできなくなること
を条件に、バーの奥で自らの「秘密」を打ち明ける。
秘密を話した人間は心が軽くなり、一方オーナーには別のメリットが…?そんなことは露知らず、今日も秘密を抱えた子羊たちが「王様の耳」を訪れる…。
『王様の耳 秘密のバーへようこそ』のココが面白い!
「秘密」が織りなす会話劇
漫画『王様の耳』の舞台であるバーの店名「王様の耳」は、もちろん有名な寓話『王様の耳はロバの耳』から。そこに客たちは床屋よろしく、「人に喋りたい秘密」を打ち明けるために集います。
合言葉「ガイダロス」をきっかけに、客の口から語られる「秘密」。それは他愛のないよもやま話から、人の生死に関わるものまで様々。そんな「秘密をキーにしたエピソード」や、そこから広がる「オーナーとお客との会話」が、物語の中心に。
「大人の空間」の雰囲気と、”えすとえむ”さんの色香を感じる描画が相まって、バー「王様の耳」の世界に読者を引き込んでいきます。
ユーモアあふれるオーナーの正体は…?
非常に雰囲気のある『王様の耳―秘密のバーへようこそ―』ですが、シリアス一辺倒ではなく、随所にユーモアが仕込まれているのも、コメディ作品も描く作者ならでは。
オーナーはオールバックと白いスーツが似合う、年齢不詳のイケメンなのですが、意外といい加減(笑)。彼が新人バーテンダー・シバケン君と交わす、軽妙洒脱にしてコミカルな会話に思わず笑いがこぼれます。
しかしオーナーは、なぜ秘密を買い取るのか?
それもまた「秘密」のひとつ。物語の進行とともに、その断片が少しずつ明かされていくことに。
そしてそれを追っているうちに、「人ならざるもの」的な雰囲気を醸し出すオーナーの物腰に吸い込まれ、思わず秘密を打ち明けたくなってくる…!絶妙な空気感が何とも魅力的。
予想外なミステリー風味にドキドキ
そんな会話劇に酔っていると、『王様の耳』2巻で物語は予想外の方向へ…!
2巻冒頭、一見客のOLから秘密の買い取りを依頼されたオーナー。それはホスト絡みのえげつない内容だったが、「よくある話」と言えばそんなもの。が、そこからちょっときな臭い、サスペンス風味の展開に…?
OLの件以降も、興味深い秘密買い取りのエピソードが続くのですが、その合間合間に「とある人物」に絡む謎が織り込まれていきます。
もともと「ミステリアス」な雰囲気がクセになる『王様の耳』。そこに「サスペンス感」が湧き出てきて、徐々に高まるシリアス風味にゾクゾクが止まらない…!
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感想・レビューまとめ
以上、”えすとえむ”さんの漫画『王様の耳―秘密のバーへようこそ―』の感想・レビューでした。
ミステリアスな雰囲気とユーモアが良い感じで融合、アダルトな雰囲気を演出する大人のドラマ。予想外のサスペンス展開にも引き込まれていきます。
ちなみに客が頼むカクテル「ガイダロス」、そのレシピにも「ある秘密」が存在するのですが、それは何か?もちろんそれは、ここでは「秘密」(笑)。
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