人に言えない秘密、買い取ります。―漫画『王様の耳 秘密のバーへようこそ』

「人に言えない秘密はあるかい?一人で抱えきれない時は、こっそり僕に打ち明けてくれ―」

“えすとえむ”さんの漫画『王様の耳 秘密のバーへようこそ』。「秘密」を買い取る謎多きバー・オーナーと、彼のもとを訪れる客たちの、ミステリアスな会話劇が描かれます。

連載は小学館の雑誌「女性セブン」で、2022年6月現在、コミックス1巻が刊行中。

『王様の耳 秘密のバーへようこそ』感想・レビュー

隠れ家的バー「王様の耳」のオーナー・鳳麟太郎。店主以外のもうひとつの仕事は「秘密の買い取り」

謎のカクテル「ガイダロス」を頼んだ客はバーの奥で、「自身の秘密であること」「今まで誰にも口外していないこと」「買い取った秘密は今後二度と口にできなくなること」を条件に、自らの「秘密」を打ち明ける。

秘密を話した人間は心が軽くなり、一方オーナーには別のメリットが…?そんなことは露知らず、今日も秘密を抱えた子羊たちが「王様の耳」を訪れる…

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漫画『王様の耳』の舞台となるバーの店名「王様の耳」は、もちろん有名な寓話『王様の耳はロバの耳』から。そこに客たちは、床屋よろしく「人に喋りたい秘密」を語るために集います。

合言葉「ガイダロス」をきっかけに語られるその内容は、他愛のないよもやま話から、人の生死に関わるものまで様々。そんな「秘密の中身」や、そこから広がる「オーナーとお客のやり取りそのもの」が、物語の中心に。

そこで展開される「秘密」をキーにしたエピソードの数々は、時にシリアス、時にミステリアス。「大人の空間」の雰囲気と、“えすとえむ”さんの色香を感じる描画が相まって、バー「王様の耳」の世界に読者を引き込んでいきます。

…と言ってもシリアス一辺倒ではなく、随所にユーモアが仕込まれているのも、『いいね!光源氏くん』や『うどんの女』などのコメディ要素のある作品を手掛けてきた作者ならでは。

オーナーはオールバックと白いスーツが似合う年齢不詳のイケメンなのですが、意外といい加減(笑)。彼が新人バーテンダー・シバケン君と交わす、軽妙洒脱にしてコミカルな会話に思わず笑いがこぼれます。

しかしオーナーは、なぜ秘密を買い取るのか?それもまた物語の「秘密」のひとつなのですが、物語の進行とともに少しずつ明かされていくその断片が、もどかしくも気になるところ。

そしてそれを追っているうちに、「人ならざるもの」的な雰囲気を醸し出す不思議な物腰に吸い込まれ、思わず秘密を打ち明けてみたくなってくる…。そんな絶妙な空気感が何とも魅力的な物語です。

『王様の耳―秘密のバーへようこそ―』まとめ

以上、”えすとえむ”さんの漫画『王様の耳―秘密のバーへようこそ―』の感想・レビューでした。

ミステリアスな雰囲気とユーモアが良い感じで融合、アダルトな雰囲気を演出する大人のドラマ。次巻予告ではオーナーの身の上に関わる出来事も示唆され、是が非でも続きが気になるところです。

ちなみに客が頼むカクテル「ガイダロス」、そのレシピにも「ある秘密」が存在するのですが、それは何か?もちろんそれは、ここでは「秘密」(笑)。ぜひ本編でその秘密をお楽しみください。

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