「猫のお寺の知恩さん」全9巻―年上従姉とひとつ屋根の下で田舎暮らし

都会の喧騒を離れて、田舎暮らし。しかも年上のお姉さんとの同居だったら…。

そんな思春期の男の子なら誰もが夢見る生活(?)を描くのが、漫画「猫のお寺の知恩さん」。

作者は「富士山さんは思春期」などのオジロマコトさん。本作「猫のお寺の知恩さん」は、2018年末刊行の9巻で完結となりました。

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あらすじ

新・高校一年生の須田源(すだ・げん)15歳。地元を離れて県外の高校へ進学するため、親戚のお寺に下宿することに。

そこで源を迎えたのは、いとこのお姉さん・古寺澤知恩(こてらさわ・ちおん)19歳。大人びているようで、ちょっといたずら好きな年上のお姉さん。

犬のテンやたくさんの猫たちに囲まれて、のどかでちょっとドキドキな、源の田舎暮らしが始まる―。

猫のお寺の知恩さん(1) (ビッグコミックス)オジロマコト:小学館
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「猫のお寺の知恩さん」レビュー

丁寧な田舎の描写が秀逸

わりと良くある「年上のお姉さんとのドキドキ同居ライフ」かと思いきや、一応祖母も一緒に暮らしているので安心(何が)。

思春期の少年+年上いとこのお姉さんという組み合わせ。何かとイヤンな展開も期待しがちですが、この「猫のお寺の知恩さん」はとても健全でさわやか。

オジロマコト「猫のお寺の知恩さん」
[オジロマコト 著 小学館「猫のお寺の知恩さん」1巻より引用]

年頃の異性の同居ということで、時にはラッキーハプニングが起こるのはご愛嬌。基本は源と知恩さんや、同級生たちとの触れ合い。

笑顔あふれる人間関係が、丁寧に描かれる田舎の風景とマッチ。「都会から見た都合のいい田舎」ではない、絶妙なバランスの田舎暮らしが心地よい。

魅力的過ぎる知恩さん

「猫のお寺の知恩さん」の魅力の一つは、何と言っても知恩さんのキャラクターそのもの。

太眉でやや丸顔、かわいいけれど美人すぎない。源にとってお姉さん的な存在である反面、おっちょこちょいな顔もあり目が離せない。

オジロマコト「猫のお寺の知恩さん」1巻
[オジロマコト 著 小学館「猫のお寺の知恩さん」1巻より引用]

いやー、自分が思春期の時に、こういうお姉さんが近くにいたらドギマギするわ(笑)。

主人公・源も思春期まっさかりで、大人と子どもの中間ぐらい。時に姉・弟のように、時に男女を意識しながら、知恩さんと微妙な距離感を保っているのが微笑ましい。

雰囲気で描く胸の内

源と知恩さんだけではなく、同級生女子・昼間(ちょっと口が悪い)ら学校の仲間たちとのあたたかい交流も、「猫のお寺の知恩さん」の柔らかな空気を演出。

オジロマコト「猫のお寺の知恩さん」3巻
[オジロマコト 著 小学館「猫のお寺の知恩さん」3巻より引用]

それらを読者に伝えるのは言葉ではなく、キャラクターの表情や背景も含めた空気感。

セリフを多用せずに目線や距離感で、今、彼らが何を思っているかを伝えるテクニック。オジロマコトさんのウマさとともに、絵から心情を類推する、漫画ならではのおもしろさを感じます。

文章として読む部分が少ないためサラッと読めるのだけれど、その時の雰囲気を感じるために、繰り返しページをめくりたくなる。そんな魅力があります。

年の差恋愛の行方は?

そんな物語の中で気になるのは、やはり源と知恩さんの恋愛模様。

本作はガツガツ恋愛を見せるタイプの漫画ではなく、また二人がいとこ同士であるという関係から、好き・嫌いはあからさまに描かれません。

が、時折その距離感がグッと近づくシーン。読んでいてものすごくドキドキする!この焦らされっぷりがたまらん(笑)。

オジロマコト「猫のお寺の知恩さん」3巻
[オジロマコト 著 小学館「猫のお寺の知恩さん」3巻より引用]

しかし知恩さんは、祖父が無くなったあとのお寺を継ぐかどうかを、真剣に悩んでいるところ。一方の源は、まだ高校に入学したばかり。

源が知恩さんに心を寄せる様子はところどころで描かれますが、果たして知恩さんの気持ちはどうなのか?二人の関係性が変化することはあるのか?

源が田舎で過ごす一年が全9巻で描かれますが、二人が最終的にどのようなゴールに到達するのか、が大きな見どころです。

まとめ

以上、漫画「猫のお寺の知恩さん」のレビューでした。

人物・風景・物語。どれをとっても繊細に、丁寧に描かれている作品。じっくりゆっくり、何度でも読み直したくなる魅力を持っています。

また「猫のお寺」とタイトルにある通り、お寺に住むカワイイ猫たち(と犬一匹)の動物描写も秀逸。多方面からほっこりできる、オススメの作品です。

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